2015/4/22

不動産リポート

各種情報を一元管理するシステム稼働

ところで、不思議なことに、こうした浸水可能性地域は、そうでないところと比べて、地価にさほど違いがないことが多い。というのも、浸水や土砂災害など防災等の情報や過去の取引履歴をはじめとする各種不動産情報は、国、都道府県、市区町村、法務局、上下水道局など多様な情報保有主体に分散しており、個別の物件に関する情報を幅広く調べることが困難なためである。

東京都中野区妙正寺川北原橋付近。平常時
2005年9月4日深夜、猛烈な雨が降ったときの様子(中野区提供)


だが、こうした状況にもやがて変化が訪れそうだ。防災情報や各種の不動産情報を一元化した「新住宅情報システム」のプロトタイプが既に完成、国土交通省が横浜市と連携し、システムを活用した実証実験を今年度からスタートする。試験運用・検証の後早ければ18年から本格運用になり、対象地域を順次拡大する見込みだ。

「新住宅情報システム」のイメージ図(国土交通省作成)

このシステムが本格的に動き出せば、ハザードマップなどの行政情報はもちろん、道路などのインフラ整備状況、不動産の取引価格に至るまで、物件に関する情報が一元化される。浸水実績やその可能性のある地域とそうでない地域が明確化され、両者の資産性におのずと差ができるのは明らかだろう。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(http://www.jshi.org/)を設立し、初代理事長に就任。『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)『「マイホームの常識」にだまされるな!』(朝日新聞出版)『これから3年 不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。

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