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相続トラブル百科

親名義の秘密の貸金庫 死後に存在を知ったら 司法書士 川原田慶太

2015/4/17

 親が鍵のかかる引き出しなどに大切にしまっている品物は、家族であっても見たり触ったりする機会はそう多くはありません。ましてや、それが外で貸金庫を借りている場合にはなおさらでしょう。没後に残された家族が、貸金庫の場所はおろか、金庫を借りていたという事実すら把握していないケースもあるのです。

:「ねぇ、父さんが残した預金通帳の中に、そんなに額が多くないからってそのままにしていたものがあったじゃない」
:「亡くなったお義父さんの通帳……。あぁ、そういえばそんな話があったね」
:「記帳してみたら、この前、1件引き落としがあったの」
:「えっ? お義父さん名義の引き落としは全部止めたはずだろ」
:「それが、年1回だけの引き落としだから今まで気づかなかったのよ。明細を見たら、貸金庫かなにかの利用料らしいわ」
:「へぇ、お義父さんそんなの借りてたんだねぇ。それで、中身は確認したのかい?」
:「それがね、そもそもそれらしい鍵も見つからないし……」
:「まぁ、金庫があることさえ知らなかったんだから仕方ないんじゃない。しかし、いったい中には何が入ってるんだろうなぁ」

 親が使っている貸金庫について、生前から積極的に情報共有している家族も中にはあると思います。しかしながらそれとは逆に、子どもたちには内緒、それどころか妻や夫にさえ秘密で金庫を契約していたようなケースもあります。

 口座の名義人が亡くなった後、すみやかに銀行で相続の手続きをしていれば、故人の名義で貸金庫の契約が残っているという情報を教えてもらえる機会があったかもしれません。しかし、残高が少ないなどの理由で、銀行に相続の届け出がされないまま、放置される口座が多いのもまた事実です。

 貸金庫のサービスは、有料のものがほとんどです。そのため、相続発生後に放置したとしても、いずれは利用料の支払い時期がやってきます。ただ、利用料の請求が年1回しかこないようなケースでは、口座が動かないため、かなりの日数がたってから気づくということも起こるでしょう。しかし、それでもいつかは「あれ、この引き落としはなんだろう?」と、貸金庫の手がかりを知るタイミングがやってくるはずです。

 家族も知らなかったような貸金庫の場合、入室用のカード、暗証番号や金庫の番号、鍵の保管場所などが見当たらなくなっていることも多いものです。かといって、銀行に頼めばすぐに金庫を開けてくれて、簡単に中身を確認させてもらえるのかというと、そうはいかない場合も多いので注意が必要です。

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