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ピロリ菌、花粉症の次はプリン体 進化する乳酸菌

2015/4/23

日経トレンディ

花粉症対策やピロリ菌退治、そしてインフルエンザ予防――。免疫力の向上や整腸作用などが以前から知られている乳酸菌に、さらなる特定の機能を強く訴求した新顔が次々に出てきている。そのなかで最も注目されるのが、プリン体を吸収・分解する作用があるという、これまでにない乳酸菌だ。

■乳酸菌市場は「機能性」で再び活性化

「PA-3乳酸菌」はプリン体を吸収・分解するとうたう乳酸菌。3種あるプリン体の代表的な構造すべてを取り込み、それらを栄養として増殖。さらに、食事中に多いプリン体の構造であるヌクレオチドを、吸収されにくいプリン塩基に分解する。写真の製品は「明治プロビオヨーグルト PA-3」(明治)

この明治の「PA-3乳酸菌」は、食事に最も多く含まれるプリン体の構造であるヌクレオチドを、体内に吸収されにくいプリン塩基に分解。さらに3種類あるプリン体の代表的な構造すべてを取り込み、それらを栄養として増殖する。つまりプリン体を餌にして増え、分解もする乳酸菌だという。 2015年4月7日、PA-3を使ったヨーグルト「明治プロビオヨーグルト PA-3」が発売。ヨーグルトらしくない黄色のパッケージが、スーパーの乳製品コーナーに並んだ。

これらの機能性乳酸菌を使ったヨーグルトなどの人気は高まるばかりで、メーカーのヨーグルト関連の売り上げも右肩上がりが続く。火付け役となったのは、明治が2009年に発売した「明治ヨーグルトR-1」。このヨーグルトに含まれる「1073R-1乳酸菌」を体内に取り込むと、「風邪を引きにくい効果などが見込めることが確認されている」(明治)。

乳酸菌は機能性だけではなく、腸への届きやすさでもメーカーが競う。例えば、カゴメが2015年2月にリニューアルした「植物性乳酸菌ラブレ」シリーズ。2006年発売のラブレは、京都の伝統的な漬物、すぐき漬けの乳酸菌が由来だ。乳製品由来の一般的な乳酸菌と比べて、漬物由来の乳酸菌は塩分や酸が多い過酷な環境に強いとされる。このため「胃酸に強く、腸まで生きたまま届きやすい」(東京農業大学の岡田早苗教授)のが特徴だ。

さらにカゴメは、ラブレ菌にインフルエンザの予防効果があることを、小学校児童を対象にした2014年の大規模調査で確認したという。こうした研究や調査が進むことで、既存の乳酸菌やビフィズス菌などに新たな有用性が確認される可能性はあるだろう。

各社が次々に打ち出す乳酸菌の機能性は、どこまで本当に効果が見込めるのか。東京農大の岡田教授は、「データなどの裏づけがあって商品化されていれば、基本的には作用を期待していい」と言う。ただし、人によって腸内環境や存在する菌の種類が異なることもあり、乳酸菌の働きには個人差があるのだとも指摘する。例えば、「ある乳酸菌飲料で整腸作用があまり感じられないのに、別のヨーグルトでは効果を実感できた人もいる」(岡田教授)。何らかの作用を期待する場合はいくつかの乳酸菌を試し、体調がいいと感じるものを続けるのがいいだろう。

■こんなに違う…乳酸菌vs.ビフィズス菌

乳酸菌もビフィズス菌も善玉菌で、体内に取り込むと整腸作用がある点は同じ。森永乳業は「ビフィズス菌のほうが整腸作用の効果が高い」点を強調する。これはビフィズス菌が生成する酢酸に強い殺菌力があり、悪玉菌の繁殖を抑制する他、腸の粘膜を保護する作用もあるからという。

一方、乳酸菌にはピロリ菌除去やインフルエンザ予防など、免疫力向上や抗アレルギーの作用を訴求した菌種がある。これらを応用したヨーグルトやサプリメントなどをメーカーが次々に投入している。

(日経トレンディ編集部)

(日経トレンディ 2015年5月号の記事を基に再構成)

[参考]日経トレンディ2015年5月号(4月4日発売)の巻頭特集は「サプリ、トクホ、クスリ、機能性表示食品 食と健康のウソ・ホント」。口にするものが軒並み「健康」をうたう時代。商品パッケージに躍る、魅力的なうたい文句に惑わされない、正しい選択眼を磨く秘けつを網羅。そのほか、クレジットカード&ポイントの「得ワザ・裏ワザ101連発」や、「家で“最高のコーヒー”を飲む」ためのコーヒーメーカー選びなどを掲載。

日経TRENDY(トレンディ)2015年5月号〔雑誌〕

編集:日経トレンディ
出版:日経BP社
価格:590円(税込み)

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