家を現金化、リバースモーゲージが急増金利上昇・地価下落リスクに注意

従来、担保の対象を高額の不動産に限る銀行が多かったが、最近参入した地銀の場合、土地評価額がおおむね1千万円以上なら利用できる例が目立つ。都市部の戸建て住宅であれば対象になりやすい。高齢世帯が増える中で新たな収益機会として融資に積極的な金融機関が増えている。

長い目で見ると注意すべき点も多い。まず想定以上に長生きする可能性だ。「かさむ生活費に充てるため借り入れを重ねれば、早い時期に限度額に達してしまう」と住宅ローンアドバイザーの淡河範明氏は指摘する。限度額は「土地評価額の50%」などに限られる。長生きしても生活費を賄えるか考えるのが大切だ。

地価が大幅に下落するリスクも想定する必要がある。もし市況が悪化して銀行が担保不動産の評価額を引き下げれば、借入残高を下回る「担保割れ」になる。その場合、差額分の返済を銀行から求められる。そうならないよう借入額を慎重に決めなければならない。

配偶者にも配慮を

金利上昇リスクも肝に銘じておきたい。リバースモーゲージの適用金利は変動型が一般的。現在3%前後という金利水準が将来もし上がれば、利息負担はより重くなる。利息は元金と合わせて死後に返済するタイプと、生前、毎月支払いを求められるタイプがある。

野村資本市場研究所の小島俊郎・主任研究員は「自分の死後に配偶者が契約を引き継げるか、よく確認するべき」と助言する。これには配偶者を連帯債務者にしたり、不動産を信託して配偶者を受益者にしたり、いくつか方式があり、金融機関によって仕組みや条件にばらつきが大きい。

ファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子氏は「持ち家を活用して老後のための現金を確保する手段は他にもある」と指摘する。例えば、子どもが独立して部屋数の多い家を持て余しているなら、家を売り、安価な小型マンションを買うのも一案。「売買の差額分は生活費に回せる」(畠中氏)

大きな戸建て住宅を手放すと、「固定資産税や修繕費などのコストを減らせる利点もある」とFPの久谷真理子氏は助言する。家の売却後、新居を購入するのではなく、家賃が適正な賃貸マンションに移ってもいい。持ち家にこだわらないのであれば、豊かな老後生活のために現金を使える。

家は老後の家計を支える財産。高齢になれば介護費用や老人ホーム入居でまとまった資金が必要になることもある。いざというときに備えるためにも現金化の方法を事前に考えておくことが有効だ。(表悟志)

[日本経済新聞朝刊2015年4月15日付]

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