40代、女の骨は弱くなる 細身・運動不足は要注意

日経ヘルス

女性の骨は40代以降、がくんと減っていく運命にある。原因は女性ホルモンの減少。やせている人や運動不足の人は、特に骨がもろくなりやすいといわれている。骨の老化を防ぐにはどうすればいいかを2回に分けて紹介する。今回は骨の新陳代謝の仕組みを学ぼう。

硬い骨も常に新陳代謝を繰り返している。壊して作って、新しくなる――。壊し役はその名もズバリ「破骨(はこつ)細胞」、作り役は「骨芽(こつが)細胞」と呼ばれる。

「破骨細胞が3週間ほどかけて古くなった骨を壊し、骨芽細胞が3カ月ほどかけてその穴を埋めていく。掘り起こしては埋めていく、道路工事のようなもの」と順天堂大学医学部整形外科の石島旨章准教授は話す。

こうして、骨のあちこちで作り替え作業が常に繰り返され、「7年ほどで骨全体の半分が新しく生まれ変わる」と伊奈病院整形外科の石橋英明部長は説明する。

エストロゲンが骨代謝のバランスをとる。破骨細胞が古くなった骨を溶かし(骨吸収)、骨表面にくぼみができる。すると骨芽細胞が集まってきてせっせと新しい骨を作り(骨形成)、穴を埋める。このとき骨の材料になるのが、カルシウムとコラーゲンだ(図版:三弓素青)

更年期以降は骨の再生が遅くなる

しかし、この骨の代謝に大きな転機が訪れるのが更年期だ。破骨細胞の働きを抑えてきたエストロゲン(女性ホルモン)が閉経とともに減り、骨を「壊す」が勢いを増し、「作る」が追い付かなくなる。

エストロゲンが減ると、破骨細胞に対する押さえが効かなくなり、これまで以上に骨吸収が勢いを増し、骨形成が間に合わなくなる。このため、骨量が減少。特に閉経後は約15年間にわたり、急激に骨が弱くなる(図版:三弓素青)

この結果、骨の弱体化が進み、閉経後は閉経前に比べ、骨量が急激に減少する。転んで手をついただけで手首を骨折した、背中や腰が曲がってきたと思ったら知らない間に背骨がつぶれていた…など、ちょっとしたことで骨折する「骨粗しょう症」も増える。「骨の減少は、女性全員に起こる現象。40代の更年期から徐々に減り始め、閉経後にグンと加速する」と石島准教授。

女性は40代から骨が弱くなる。閉経前220人、閉経後166人の合計386人の日本人女性が対象。DXA(デキサ)法で腰椎の骨密度を測定した結果、閉経後女性では加齢に伴い、骨密度が急激に減少していた。大腿骨頸部などでも同様の結果だった(出典:JOURNAL OF BONE AND MINERAL RESEARCH; 8,2,1993)

骨がもともと弱い人は、そこからさらに弱体化が進むので要注意。やせている、あまり運動しない、日に当たる機会が少ないという人は、骨が弱い可能性がある。

すり減った軟骨は再生しにくい

一方 、関節面で「クッション役」を担っている軟骨。水分を多く含むゲル状の軟らかい組織だ。「軟骨は代謝が非常に遅く、新しく生まれ変わるのに50~100年かかる。軟骨が摩耗すると、再生はまず難しい。すり減らさないよう大切にケアを」と石橋部長は指摘する。

例えば体重が重い人、O脚気味の人は膝関節への負担が大きく、軟骨がすり減りやすい。またハイヒールを履いたときにひざが曲がったまま歩く人も要注意という。「歩き方はもちろん、関節を支える筋力を鍛えることは、軟骨の保護にとても重要」(石橋部長)だ。

■この人たちに聞きました

石島旨章さん
順天堂大学医学部整形外科学講座准教授。専門は骨粗しょう症、変形性膝関節症など。「過度の美白は、骨に必要なビタミンDの合成を妨げます。腕だけでもいいので、せめて1日15分はUVケアなしで日光を浴びてください」
石橋英明さん
伊奈病院整形外科部長。専門は骨粗しょう症、関節外科など。著書は『骨粗鬆症の最新治療』など。「階段の上り下り、片足立ち、縄跳び…。どれも骨と筋力を鍛える。骨に力がかかるほど、骨は強くなろうとします」

(ライター 佐田節子)

[日経ヘルス2015年5月号の記事を基に再構成]

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