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激安、1回100円以下も登場 オンライン英会話比較

2015/4/10

日経トレンディ

 「週1~2回リアルの英会話スクールに通うくらいでは、いくらレッスンの質が高くても圧倒的に英会話の量が足りない」。こう話すのは、オンライン英会話スクールのDMM英会話を運営するDMM.comの上澤貴生氏だ。

 オンライン英会話はパソコンやスマートフォン(スマホ)で、Skypeなどの無料通話回線を通じて海外の英語教師とレッスンをする仕組み。例えば、リアルの英会話スクールのなかでも比較的割安なNOVAで月4回、各40分のマンツーマンレッスンを受けると、月額料金は税込み2万円。対してDMM英会話は、毎日25分レッスンをしても月3950円と圧倒的に安く、量もこなせる。1日3回(75分)のレッスンで月9200円のコースもあり、毎日受けると1レッスンがわずか99円。非常にコストパフォーマンスが高い。「現状リアルに及ばないのは、レッスン後の手厚いケアくらい」(上澤氏)という。

 他のオンライン英会話もリアルの半額以下が当たり前。この激安料金のカラクリは、大半がメーンで採用しているフィリピン人講師にある。フィリピンの平均月収が1万4000ペソ(約3万8000円)といわれるなかで、その2倍以上の賃金を支払っても、日本で講師を雇うリアルの英会話より人件費は大幅に削減できる。駅前立地が多いリアルの英会話のように、高い固定費もかからない。加えて、オンライン英会話は早朝から深夜まで営業しているなど、利便性の面でも有利だ。

 ただ、現状はオンライン英会話の利用者はそう多くない。2013年で約450万人が通うというリアルの外国語スクールに対し、オンライン最大手のレアジョブ英会話ですら有料会員は約3万人。業界全体では10万人前後とみられる。

 気になるオンライン英会話スクールのレッスンは満足できる内容なのか…。

■毎日レッスンが受けられ、圧倒的に安いDMM

 オンライン英会話スクールは現在、小規模サービスを含めると実に100社以上がひしめく大混戦。そのなかでは、レアジョブ英会話とDMM英会話が2大サービスで、それをQQイングリッシュやラングリッチ、ベストティーチャーといった中堅が追う形だ。そこで今回、このオンライン専業の5社に、リアルの英会話スクール大手のイーオンが手がけるオンラインサービスを加え、レッスン内容や使い勝手を比較。TOEICテスト(以下、TOEIC)満点を取得し、英語学習マスターコーチとして活動する松本秀幸氏と検証した。

オンライン英会話の利用者数が多めの専業5社と、英会話スクール大手イーオンのインターネットレッスンを比較。料金の安さではDMM英会話が突出する。講師数はレアジョブ英会話とDMMが桁違いに多い。ネイティブ講師中心なのはベストティーチャーとイーオンだった。講師の自宅ではなく、海外オフィスの高速な通信回線でレッスンをするのは、QQイングリッシュ、ラングリッチ。DMMも一部オフィス型だ(注:イーオンのレッスン可能時間は、土曜は10時~15時、日曜は20時~24時、祝日は定休。1レッスン当たりの料金は、1カ月を31日として計算)

 まず、オンライン英会話の最大の魅力といえる料金の安さでは、DMMが他を圧倒している。毎日1回25分のレッスンを受けられるコースが月3950円(税込み、以下同)。同様のコースがあるレアジョブ(月6264円)やラングリッチ(月6000円)と比べて、3割以上安く済む。

 QQイングリッシュの月会費プランは月3980円(400ポイント分)とDMMに次ぐ水準だが、講師の熟練度によって1回に必要なポイント数が25~100ポイントまで4段階で変わる独特の仕組み。そのため月3980円のコースでは1カ月のレッスン数が4~16回に限られるが、この範囲で学ぶならレアジョブやラングリッチよりは割安だ。

 残るベストティーチャーは1日のレッスン回数に制限がないものの、月9800円とやや高め。イーオンは3カ月有効の10回コースで2万5920円と、オンライン専業より突出して高い。

 ただ、ベストティーチャーやイーオンは米国など英語ネイティブの講師をそろえ、特にイーオンは日本在住の講師で運営している。対して料金が安い4社はフィリピン人講師が中心だ。そこで気になるのはフィリピン人講師の英語レベルだが、複数回レッスンを受けた松本氏によると、「多少なまりのある講師もいたが、問題のないレベル。むしろ気さくで話しやすい雰囲気をつくれる講師が目立った」という。

1レッスン当りの料金は最安。講師は世界60カ国におり、約70%がフィリピン人。予約は7日前から15分前まで可能。講師数が多いので、講師を選ばなければピークタイムでも予約は取りやすかった。オリジナル教材の他、初級者に人気の書籍「瞬間英作文」や「絶対『英語の耳』になる! ビジネス英語リスニング難関トレーニング50」など、市販書籍を組み込んだレッスンも受けられる
講師のレベルによって、受講に必要なポイント数が変わる仕組み。月に4~16回のレッスンを受けるなら、料金はDMM英会話の次に安い。講師はフィリピン人。1カ月前から15分前まで予約できる。24時間利用可能だが、深夜は予約できる枠が少なめだった。会話力のレベルチェックがあるので、今の自分の実力が把握しやすい。英会話の瞬発力を鍛えられる「カランメソッド」も学べる

 実はオンライン英会話は、フリートークレッスンの際にスカイプのチャット機能で英文テキストを送って添削してもらうこともできる。実際に試すと、こちらも「各社とも文法やスペルの間違いが正しく添削された」(松本氏)。

 レッスンの進め方や教え方については、運営会社や講師の国籍の違いより講師個人の力量に差がある印象だ。QQイングリッシュは、講師の熟練度によって給与に差をつけており、「必要ポイントが高く設定されている講師は、教え方が丁寧で適切なアドバイスをくれた」(松本氏)という。その他、DMMやレアジョブ、ラングリッチには、講師のお気に入り登録機能があり、利用者からの登録数が多い講師ほど、レッスンの力量が高いと考えられる。

■講師のまとめ予約が便利なQQイングリッシュ

 各社とも、朝6時~8時と夜21時~24時がレッスンの集中するピークタイム。この時間帯に予約が取れるかどうか5日間にわたって調査したところ、いずれも講師さえ選ばなければ予約はできた。ただ、特に講師数が多いDMMやレアジョブでも、お気に入り登録数が多い人気講師はピークタイムの予約が2~3日前に埋まっていることがあった。この2社は、予約したレッスンが終わらないと次の予約ができないので、自分の目当ての人気講師から毎日習うのはやや難しい。

 その点、QQイングリッシュとイーオンは1カ月先までまとめて予約が取れる。同じ講師を継続して予約できるのは、学習効果を高める意味でもメリットになるだろう。また、ラングリッチは継続利用で予約可能枠が優遇される仕組みで、2カ月目からは1度で2枠、4カ月目からは3枠、7カ月目以降は4枠を同時に予約できる。

 なお、DMM、レアジョブ、ラングリッチには、1日2回以上レッスンを受けられるコースもある。その場合は同時に2枠以上の予約ができるため、人気講師のレッスンも受けやすい。特にDMMの1日2回コースは、月6500円と他社の1回コースより安い水準だ。

 学習効果を上げるのにもう一つ重要なのは、自分の英語レベルに合ったカリキュラムを選べるかどうか。各社は1~2回の無料体験レッスンを用意しているが、この段階で講師が会話のレベルチェックをして適したカリキュラムの推薦を受けられるのは、QQイングリッシュとイーオン。レアジョブも2015年4月から同様のサービスを開始した。さらに、学習成果を把握するためのレベルチェックは、QQはレッスン1回分、イーオンは別途2980円で受けられ、レアジョブでも4月から有料(料金未定)で対応する。なお、DMMは「今後、導入を検討する」という。

毎日25分話せるコースの料金は月6264円と標準レベルだが、月8回プラン(月4536円)もある。講師はフィリピン人。7日前からレッスン開始の5分前まで予約できる。講師数が多いので、講師を選ばなければピークタイムでも予約は取りやすかった。受講後にTwitterに自動ツイートする連係機能があり、生徒同士のやりとりも行われる。唯一、TOEFLスピーキングに対応
料金は標準レベル。講師はフィリピン人で、4日前から15分前まで予約可能。5時台と22時台で予約枠が少ないことがあった。継続期間が長くなるにつれ、同時に予約できるレッスンが最大4回まで増えるので、目当ての講師の予約が取りやすくなる。カリキュラムは整備されており、TEDをはじめ、毎日更新されるニュース素材が豊富なため、中・上級者も継続しやすい

■各社とも工夫を凝らした英語教材

 レッスンで使う教材については、各社が工夫を凝らし、個性的な教材がそろう。なかでも初級者向けの教材で特色を出しているのは、DMMとQQイングリッシュ。DMMには、英語学習の定番書籍「瞬間英作文」や「絶対『英語の耳』になる! ビジネス英語リスニング難関トレーニング50」を使ったレッスンがあり、QQイングリッシュでは、英会話に対する反射力を鍛える「カランメソッド」を受けられる。

 また、TOEIC対策レッスンの他、「TOEFLスピーキングレッスン」まで用意しているのはレアジョブだけ。ラングリッチは、英語による著名人の講演会「TED」の動画や毎日のニュースを題材にしたレッスンが充実しており、中・上級者に向く。イーオンには、営業や経理といった職種別に英会話を学べるテキストがあり、より実践的だ。

 一方、これらと一線を画す学習法を取るのが、ベストティーチャーだ。レッスン前に、自己紹介や商談などのテーマで講師とテキストチャットをし、まず自分専用の会話集を作成。それを題材に講師とのスカイプ会話レッスンを行う。レッスンを重ねるほど、実際の会話ですぐに使えるセンテンスが増えていく仕組みだ。ただ、講師からのチャットの返事は3時間くらいかかることもあり、やや使いづらかった。

 まとめると、最安料金で毎日話せるうえ、「瞬間英作文」など初心者でも取り組みやすい教材がそろうDMM英会話が最もコストパフォーマンスが高い。自分の実力を途中でチェックできる仕組みが整い、まとめ予約で“専属講師”から習いやすいQQイングリッシュも選択肢だ。

オンライン英会話のなかでは、月額料金が高め。講師は米国を中心に17カ国にいる。講師とチャットをしながらスクリプトを作った後で、Skypeで会話レッスンを行う。事前準備ができるので、会話に慣れていない人も話しやすい。Skypeレッスンの予約ができるのは、前日からレッスン開始の20分前まで。24時間対応だが深夜の予約枠は少なかった
料金は最も高い。大半はリアルのスクールで教える講師ではなく、日本在住の英語ネイティブのビジネスパーソンや教師が多い。毎月25日に翌月分の予約受け付けを始め、レッスン開始の20分前まで予約はできるが、直前の枠は少なかった。体験レッスン後に日本人カウンセラーと相談して受講するコースを決めるなど、日本語サポートの充実は初心者に優しい

(日経トレンディ編集)

[日経トレンディ 新生活応援 増刊号の記事を基に再構成]

[参考]「日経トレンディ 新生活応援 増刊号」(3月28日発売)では、この春、新生活をスタートする人には避けて通れない料理や掃除、洗濯をはじめとする様々な面倒から解放してくれる便利グッズや手抜きワザを紹介。さらに、必ず得する無料のカード「最強の1枚」、コンビニで得する裏ワザ、格安スマホの選び方のほか、ひとりでできる、英会話&TOEICの攻略術まで網羅。

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編集:日経トレンディ
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