ラップ口座急増 駆け込む前に中身とコスト確認インデックス投信が勝る例も

「ラップ」の冠を付けた運用サービスや投資信託の残高が急増している。金融機関に運用に関わる手間をすべて任せるもので、各人の目的やリスク許容度に合った運用が可能になるという。コストに見合った成果は期待できるのだろうか。

ラップ口座やファンドラップへの資金流入が加速している。これらのサービスを通じて買われた公募投信の残高は、3月下旬に3兆3000億円を突破(グラフA)。この2年で5倍に膨らんだ。

背景に業界事情

野村総合研究所の金子久・上級研究員は急増の背景を「個人投資家のニーズと、業界の事情という二面がある」と分析する。

ラップ口座やファンドラップは、各人の運用目的やリスク許容度を聞いたうえで、金融機関が資産配分や商品の選択、購入まで代行するサービス(表B)。運用に関わる手間が省けるため「個別の商品を選べない、決めるのが煩わしいという人に受け入れられている」(金子氏)。資産運用の必要性は感じても、実行に踏み切れなかった人たちを取り込んでいるという。

一方、「業界の事情」とは、従来の販売手法が見直しを迫られていることだ。新しい投信への乗り換えを頻繁に促して手数料を稼ぐ回転売買に対し、金融庁が厳しい目を向け始めたのがきっかけ。

そこで販売会社はラップ関連サービスを収益源に育てようと、この1、2年、最低預入金額を引き下げるなど、残高の積み上げに力を入れてきた。中でも戦略商品に位置づけるのが、ラップ口座よりも最低預入金額のハードルを下げ、投信で運用するファンドラップだ。

業界の狙い通りに残高は急増しているが、個人にとって費用対効果はどう評価できるのか。ファンドラップでは、一任契約の報酬・手数料は預入資産の1.3~1.6%程度が一般的。投信の販売手数料はかからないが、保有投信の運用管理費(信託報酬)が加わり、合計で年間3%近いコストがかかるといわれる。

「ファンドラップは2つの面で中途半端」。楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリストはそう指摘する。

まずサービス面。ファンドラップでは客が答えたアンケート結果を基に各人に適した運用コースを決めるが、「機械的にモデルに当てはめる簡便な方法が中心」(篠田氏)。機動的な資産配分の見直しや運用報告などのアフターサービスも、「大半の利用者には格別印象に残らない程度」(金子氏)という。

篠田氏は「預入金額を下げた結果、金融機関は一任契約にふさわしいサービスの提供がコスト面で難しくなっている」と話す。

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