商品選択に制約も

2つ目が商品の制約だ。ファンドラップで投資対象となるのは各社が用意した専用の投信。小口契約の場合、金融機関によってはインデックス投信しか買えない。大口ではプロが運用するアクティブ投信も対象になるが、「目立って運用成績がいいファンドがあるわけではない」(篠田氏)。

大手証券のファンドラップ専用投信と、インデックス投信の運用成績を比べると、インデックス投信に負けている例も少なくない(表C)。アクティブ投信は下げ相場で強みを発揮するものもあり、株式相場が上昇基調だった過去1年や3年で評価するのは早計だとしても、専用ファンドだからといって過剰な期待は持たない方がよさそうだ。

「富裕層向けのプレミアムサービスを1万円から」――。あるラップ型投信の宣伝文句だ。

「ファンドラップの小口版」という位置づけで、この1年、新規設定が相次いだのがラップ型投信だ。通常の公募投信の一種で、多くは1つのシリーズに「安定型」「成長型」など複数のファンドを用意し、投資家はリスク許容度に応じて選ぶ。市場環境に応じて資産配分を変更するなど、「プロに任せて安心」を強調するファンドが目立つ。

独立系投信コンサルタントの吉井崇裕イデア・ファンド・コンサルティング代表はこれらのファンドに対して「バランス型投信の一種だが、商品性が複雑でわかりにくいうえ、コストも割高」と手厳しい。「安定型」や「積極型」といってもリスク水準がわからなかったり、資産配分の見直し基準を明らかにしていなかったりするファンドが多いうえ、中身はインデックス投信の組み合わせなのに信託報酬が高すぎる例もあるという。

ラップ型投信の運用期間はまだ短く、実力がわかるのはこれから。投資を決めるのは実力を見極めてからの方がいい。吉井氏は「リスクを抑えた運用を望むなら実績のある既存のバランス型投信があるし、コストを安くしたいなら複数資産に投資するインデックス投信で十分」という。

「デフレ脱却機運などを背景に、リスクを抑えた長期・安定運用を望む個人が増えている。ラップ関連商品はそのニーズに応えたもの」(三井住友信託銀行投資顧問業務部)。投資の初心者や手間を嫌う人のために、ラップ関連のサービスや商品は意義がある。ただし、利用するなら、中身とコストを知り、自分の求めに合っているかを確かめておくぐらいの手間は必要だ。(編集委員 北沢千秋)

[日本経済新聞朝刊2015年4月1日付]

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