年金生活の60代、今あるお金で「足るを知る」世代別にクリアすべきお金のテーマ(5)

今月は「世代別にクリアすべきお金のテーマ」と題して、20代から60代までお金の課題をまとめました。世代によってお金のテーマは変化します。厳密にいえば「世代の変化」ではなく「あなたのライフスタイルの変化」に応じてお金のテーマをフィットさせていくことが重要です。最後は「60代」を考えます。

定年退職を60歳で迎えたあと、どうお金の問題を考えればいいでしょうか。若い世代もイメージを知っておくと何かと参考になるテーマです。

老後のスタートはもはや65歳 それまではとにかく働く

まず、「60代」といっても「65歳まで」と「65歳以降」で、お金のテーマはずいぶん変わります。「65歳まで」は公的年金がもらえない年齢ですから(部分年金も今から60代に入る世代はもらえない)、65歳までどうやりくりするかが重要なポイントになります。直接的にいえば「65歳まで預貯金を取り崩さない」ことがセカンドライフのゆとりに大きく響きます。

厚生労働省「高齢者の雇用状況(平成26年)」によれば、定年廃止や定年引き上げを行った企業は18.3%と少数派です。まだ60歳定年の会社が多く、65歳までは再雇用で働くことになります。再雇用制度があれば65歳まで希望者は働き続けることができるものの、定年前と同様の待遇が保証されるわけではないため、多くの場合、賃金は大きく下がります。

しかし、会社を辞めて65歳まで過ごせば、退職金や手元の預貯金を取り崩してしまうことになります。税金や社会保険料負担がいくら少なくても、毎月30万円くらいは欲しいでしょう。年360万円、5年で1800万円を取り崩すことになり、65歳以降のセカンドライフのゆとりはほとんどなくなってしまいます。

「65歳まで」はとにかく働き、退職金や預貯金を取り崩さないようにすることが大事な「マネー戦略」になります。

リタイアスタートと同時に「自分のすべて」を知る

「65歳以降」については、完全リタイアしたら2カ月に一度年金を受けながら、不足分は退職金や預貯金を取り崩す生活がスタートします。なんとなくお金を銀行に預けたまま、なんとなく必要と思う金額をおろす年金生活者にならないことが大切です。

フィーリングでお金をおろすと、気がつけば70歳になる前に1000万円以上使ってしまった、ということになりかねません。毎月16.6万円の取り崩しに相当しますが、基礎的な生活費は公的年金でやりくりできることを考えればセカンドライフとしては使いすぎです。

「このペースで取り崩しても90歳までいける」ほどの財産があれば別ですが、わが家のセカンドライフはどのくらいの家計で、どのくらいの取り崩すペースが適当かを見極める必要があります。

リタイア生活をスタートさせたら、「公的年金=日常生活費」と考え、「今ある全財産=セカンドライフのゆとりに使える上限」と整理してください。

今の全財産を箇条書きにしてまとめます。その後、「死ぬまで使わない財産(持ち家など)」「病気や超長寿のときに備えて残しておく財産」を切り分けると、「毎月取り崩したり、旅行等に使ったりしてよい予算」が見えてきます。もし、自由に使える予算の範囲でやりくりしなければ「老後破産」になってしまいます。

毎年使っていい金額は「20~25年」を意識して概算します。旅行などの臨時出費枠と、毎月使っていい金額をイメージできれば、その後は計画的な取り崩しができるようになるでしょう。

セカンドライフは「自分のお金のすべて」を知ってスタートさせることが必要なのです。

「ある範囲」で暮らすことができれば老後は怖くない

本連載は「バラ色老後のデザイン術」とうたっていますが、実はバラ色老後は「お金の量」で決まるわけではありません。「満足」を見いだせるかどうかが重要な問題です。

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