手のひらに乗るPC「m-Stick」 お手軽利用なら「買い」
「エムスティックMS-NH1」は、一見するとやや大きめのUSBメモリー。しかし、CPU(中央処理装置)やメモリー、ストレージが組み込まれた、れっきとしたパソコンだ。本体先端の端子はHDMIで、テレビや液晶ディスプレーに直接挿して使う。いわば究極の省スペースパソコンだ(図1、図2)。
スペックは、ウィンドウズタブレットに近い。低消費電力CPUのアトムを搭載し、動作中の消費電力は1~4ワットと低かった(図3)。ストレージの容量は32ギガと少ないが、空きは20ギガ以上。ソフトのインストールやファイルの保存をしても、多少余裕がある(図4)。
ストレージの種類はeMMCだが、標準的なeMMCより読み出しが速い(図5)。サイズは手の中にすっぽり収まるほどで、USBメモリーと同じ感覚で持ち歩ける(図6)。
周辺機器使うにはUSBハブ必須
小型ゆえに、使い勝手が悪い部分もある。まず、USB端子が1つしかない。キーボードやマウスで占有されるので、ほかの周辺機器を使いたい場合は、USBハブが必須だ(図7)。通常、USB端子からの電力供給は、0.5アンペア程度と少ない。消費電力の多い外付けハードディスクなどを使うときは、基本的にセルフパワー方式のUSBハブが必要になる。
テレビや液晶ディスプレーの大半は、HDMI端子が背面にある。必然的にエムスティックも背面に設置するが、その場合、本体の電源ボタンなどに手が届きにくくなるので少々不便だ(図8)。
最後に、エムスティックの初期設定の流れを見ていこう。最低限必要なのは、HDMI端子のあるテレビや液晶ディスプレーと、USB接続のキーボードだ(図9)。本体をHDMI端子に挿し、電源はマイクロUSBから供給する(図10、図11)。本体の電源ボタンを押せばウィンドウズが起動する。
このサイズだけあって、性能は決して高いとはいえないが、ネットやメールといった日常的な作業なら十分にこなせる。自分のデスクトップ環境をどこにでも持っていける手軽さは、エムスティックならではだ。
(ライター 田代祥吾)
[日経PC21 2015年5月号の記事を基に再構成]
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