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葬儀の負担軽く 低価格競争やカード払い広がる 異業種参入でコスト透明に

2015/3/21

 人生の終わりをどう迎えるかを考える「終活」が広まり、多くを語りにくかった葬儀代についても意識が向きやすくなってきた。葬儀業界は異業種の参入が相次ぎ、ブラックボックスだったコストを透明にする動きもある。支払い方法も多様になり、低価格競争に向かう流れも生まれている。

 高額支出の代名詞でもある葬儀費用だが、最近は低下傾向にある。日本消費者協会の調査によると、日本人が葬儀にかける費用は2013年時点(第10回調査)で平均188万9000円だった。これはピークだった03年(第7回調査)の236万6000円と比べて2割ほど安い。葬儀業は許認可制ではなく、新規参入は自由だ。異業種からの参入が増えていることで競争原理が働き、費用の低下が進んでいる。

 09年に参入したのが流通大手のイオンだ。14年に葬祭事業を「イオンライフ」として分社化し、「イオンのお葬式」として展開する。全国約500の葬儀社と提携し、規模などに応じて20万~70万円程度の定額プランをそろえる。催事場の空き時間を使ったり、イオンの流通網を活用したりすることで従来の葬儀よりもコストが抑えられるという。

 13年に設立したベンチャー企業のアメイジングライフは、身内だけでお通夜と葬儀を行う「シンプル葬」を東京と福岡で手掛ける。提携する葬儀社とのやりとりをネットに集約するなど人件費や固定費を削減し、火葬場への僧侶の手配などオプション料金を含めても葬儀費用は約70万~80万円にとどまる。ネット上で費用の見積もりや申し込みが完結するのが特徴だ。スマートフォン(スマホ)からでも申し込みができる。

 低下が進んでいるとはいえ葬儀費用はまだ高額だ。「負担が大きすぎる」「お墓や仏壇の購入のためにある程度のお金は残しておきたい」など、一括払いを避けたい人向けに支払い方法も多様化が進んできた。

 その一つの「葬儀ローン」はジャックスやオリコなど、信販大手が葬儀社と提供する。葬儀ローンは葬儀社が窓口になって契約することが多いため、手続きが簡単とされている。金利水準は提携している葬儀社の価格帯によって変わってくるが、両社とも平均して年率7~8%が多い。葬儀費用に充てることのできるローンは、他に利用目的を限定しない銀行の「フリーローン」などがある。

 最近ではクレジットカードで葬儀代を払えるようにもなってきた。前出の「イオンのお葬式」は、1回払い限定だがイオンカードでの支払いが可能。アメイジングライフの「シンプル葬」はVISAやマスターカードなど五大国際ブランドのクレジットカードが使え、分割払いやリボ払いも可能だ。決済大手のベリトランスもクレジットカード大手のクレディセゾンなどと組み、葬儀を終えた喪主が葬儀費用をクレジットカードで支払ったり、ローンを組めたりするサービスの提供を2月から始めた。(谷翔太朗)

[日本経済新聞朝刊2015年3月14日付]

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