2015/3/19

わたしの投資論

これがきっかけで閉鎖に追い込まれたヘッジファンドもあります。ひとたび需給がゆがむと価格まで一気に修正を求められる、流動性リスクの恐ろしさを思い知りました。相場は一筋縄ではいきません。ただいい株を買えばもうかるというものではないんです。

■法則がないのが法則

実は、この話にはもう一つ教訓があります。異常な相場は必ず修正されて、長くは続かないということです。こんなふうに振り子の針が急激に触れたときには、揺り戻しもものすごい速さでやってきます。この3日間、確かにぼうぜんとはしていたものの、ある意味では泰然自若として構えていました。実際、相場の反動は強烈で、次の週には損失をほぼ取り返すことができました。

振り子が振り切ったところで「もうダメだ」と逃げ出していたら、一番損をした状態で手じまいすることになります。あまりに価格の動きが激しい場合、一定水準で強制決済するロスカットはかえって首を絞めることもあるということです。

もちろん、この世界では法則がないことが法則といってもいいくらいですから、先のことは誰にも分かりません。異常な相場は元に戻るという鉄則ですら、絶対ではないんです。

その一例が、東日本大震災後の電力株です。未曽有の大災害、そして原発事故を受けて、株価は連日のストップ安となっていました。アナリストたちがそろって投資判断を「評価不能」とするなかで、僕はただ一人、売り推奨のリポートを出しました。電力株はもはやかつての高配当利回り株じゃない、全部売ってくださいと書いたんです。

あのときほどクレームや罵詈(ばり)雑言を受けたことはありません。「腐っても電力株だ、こんな安値で売れというのか」といったものから、「震災でもうけようなんて」「福島のことを悪く言うな」という感情論までありました。それでも、誰もが口ごもるなか、個人投資家のお客さんのために冷静な投資判断を伝えるのがそのとき僕のやるべきことでした。結果はご存じの通りで、多くの感謝と応援をいただきました。ただ割安な株を見つけて利益を出すよりも、ずっと価値のある仕事だったと思っています。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし