もしや加齢臭? 男のにおいにご用心
対策は万全のはず…
「おまえ何を使ってる?」「ミント風だね」「俺はフェロモン入りだ」……。20年ぶりに大学時代のサークル仲間と居酒屋に集まった時、話題になったのが加齢臭対策だ。髪が激しく後退した後輩やら、腹が昔の2倍に膨らんだ同期やら。中には体形も顔もあまり変わらない男もいて、無言の羨望を浴びていた。だが、飲むうちに各自が香水や消臭スプレーに心を砕いていることが判明した。
昔は幼い娘と一緒に風呂に入ったのに「パパの服と一緒に洗濯しないで!」と言われた経験は多くのオヤジがトラウマとして抱えている。加齢臭なんて言葉を初めて聞いた時は、会社の同僚と互いに嗅ぎ合い「臭うか?」「わからん。カレーみたいな臭いかな」と首をひねったものだ。
「昨日一体何食べたの?」と妻に悪態をつかれた回数は数知れない。だが加齢臭はにんにくなどとは別物だ。職場は若い女性も多い。だからこそドラッグストアやコンビニの店頭のテスターで研究を重ね、ズラリと並ぶ商品から好みの男性用香水を見つけた。
出勤前、首元に香水を吹きかけ、玄関を出た。直後「行ってらっしゃーい」という妻の声と共に雨戸が開き、俺の部屋にシューッと消臭スプレーを振りまく音が聞こえた。
発生源はどこ?
会社のエレベーターで元上司と一緒になった。異動や転勤があったため、会うのは約10年ぶり。元上司は50代後半になっていたが白髪は増えず体形もスリムなまま。「変わらないなあ」。そう思ったのもつかの間。何ともいえないにおいが上司の体から漂ってきた。「もしや、加齢臭?」。気づかれぬように少し後ずさり、距離を取った。
男性は様々なにおいを発しがち。汗、整髪料、前日の酒、にんにく……。中高年は加齢臭が加わる人もいる。においは本人に指摘しにくいから、おじさんたちが加齢臭対策に走るのは大歓迎。でもほかのにおい発生源にも注意しないと意味がないわね。
もっとも、においは受け止める側の気持ちで、不快な「臭い」にも心地よい「匂い」にもなるのかもしれない。
新婚当時、夫にほれこんでいたころ。飲んで帰ってきた夫の体から酒やたばこのにおいがしても、くさいと思ったことはなかった。それが今はどうだろう。にんにく入りラーメンを食べた後の夫とは、1メートル以上離れても会話したくない。妻への態度が邪険だったり、家事を手伝ってくれなかったり。そんな積み重ねが「匂い」を「臭い」に変化させるのかも。こんな心理に夫は気づいているかしら?
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