女性3人に1人が「冷えのぼせ」正体は冷え症の悪化

日経ウーマンオンライン

冷え症に悩む女性は少なくないが、近年、冷え症を悪化させ、手足は冷えているのに顔や頭はボーッと熱くなっている“冷えのぼせ”の症状が目立っているという。プレ更年期の症状と勘違いしている人もいるが、症状は似ていても、その原因や対策は違う。“冷えのぼせ”の原因と正しい対処法を聞いた。

20代にも多い冷えのぼせ

ピップが20~50代の女性1万人を対象に行った実態調査によると、冷え症だと答えた人が63.6%。そのうち半数以上は“冷えのぼせ”を自覚していた。全体の約3人に1人が“冷えのぼせ”ということだ。

年代別に見ると、50代に次いで20代に多いことがわかった。冷え症は年齢を重ねるごとに症状が悪化する傾向があるが、女性の冷えに詳しい目黒西口クリニック院長の南雲久美子氏によると、「20代は生まれたときからエアコンを使う環境で生活をしてきたことに加え、運動不足や体を冷やしやすい食生活、ファッションなどの生活習慣が背景にあり、本来50代以降に見られる傾向が若年化している」という。

■グラフ 世代別の冷えのぼせの割合 20代 冷え症1663人/冷えのぼせ893人 30代 冷え症1716人/冷えのぼせ813人 40代 冷え症1593人/冷えのぼせ773人 50代 冷え症1384人/冷えのぼせ786人

プレ更年期症状とは違う 冷えているのに汗をかく

“冷えのぼせ”は冷え症の一つで、より重度な状態をいう。典型的な症状は「(1)上半身は特に冷えを感じていないが、手足は冷たいといわれる」「(2)気温・運動など暑くなる条件の直後に、胸より上がカーッと熱くなり大量の汗が出る」「(3)手のひらや足の裏などにじっとりと汗をかく」など。

「汗は自覚できても、(1)は自覚のない人が多い。20~30代女性のなかにはプレ更年期の症状と勘違いしている人もいます」(南雲氏)

以下のチェックリストのうち、1つでも当てはまったら“冷えのぼせ”の可能性があるので、注意して冷えに備えよう。チェック項目が多いほど要注意だ。

□ 胸より上は特に冷えを感じていないが、手足は冷たいといわれる
□ 手足が冷えているのに、頭だけがボーッと暑くなるような感じになることがある
□ 気温・運動などの暑くなる条件の後に、胸より上がカーッ熱くなり、汗がどっと出る
□ 冷えの自覚はないが、冷たいものを食べたり飲んだりするとトイレが近くなる
□ 手のひらや足の裏などにじっとりと汗をかく

自律神経のバランスの乱れが負のスパイラルを招く

冷えは、冬の寒さはもちろん、夏でも温度差の大きい環境で体を冷やすことが原因で起こってくる。体が冷えると、生理痛など「血行不良型の冷え」が起こる。さらに血行不良が続くと、静脈やリンパ管のうっ滞が起こり、体の末端がむくんでくる。これを「水分代謝異常型の冷え」という。一方、体は本能的に、手先・足先の体温を下げてでも頭部の温度が下がらないようにする。このため、血行不良型・水分代謝異常型の冷えが続くと頭部が熱くなり、末端との温度差が大きくなり、その結果、冷えとのぼせが混在した“冷えのぼせ”になる。こうなると体温を一定に保つために交感神経と副交感神経は通常より頻繁にはたらかなければならず、その結果、自律神経自体がバランスをくずしていく。“冷えのぼせ”はいわば「自律神経失調型の冷え」といえる。

このような“冷えのぼせ”の症状が続くと、血行不良型の生理痛が悪化し、ニキビ・吹き出物など、その他の症状も現れる。水分代謝異常型のむくみやめまい、頭痛も引き起こす。自律神経のバランスの乱れが、イライラする、寝付きが悪い、汗や顔のほてりといったようにさまざまな症状を引き起こし、負のスパイラルを招くのだ。

実態調査でも、軽い冷え症の人に比べ“冷えのぼせ”の人のほうが自律神経の乱れが多く、不安・緊張などの気分の悩みや、睡眠の低下につながっていることがわかった。

「“冷えのぼせ”の人は交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにできなくなり、寝付きが悪くなる傾向があります」(南雲氏)

冷えと睡眠は密接に関係しているのだが、自覚していない人が多い。どちらか一方だけに対処しても不十分で、適切に体を温め、リラックスする、両方へのアプローチが必要だ。

しかし、“冷えのぼせ”の人は寝ている間も緊張しており、それによって汗をかき、蒸れて暑くなってしまうので、靴下を履いて寝ても途中で脱いでしまったり、入浴時も体の芯が温まる前にのぼせてしまうため長時間湯船に浸かることができないなど、重度な人ほどうまく体を温められず、自ら体を冷やすライフスタイルを送ってしまいがちだ。

そんな悪循環を断ち切るための正しい対策のポイントとは?

【ポイント1】ほてりを逃がす「一時ケア」と温める「日常ケア」を使い分ける

図1 冷えのぼせの一時ケアと日常ケア 一時ケアの場所(水色)、日常ケアの場所(ピンク) (イラスト南雲氏提供)

“冷えのぼせ”は体のなかで冷えている箇所とほてりを感じる箇所が混在しているため、ほてりを冷やす「一時ケア」と、冷えを改善するための「日常ケア」を区別することが大切。

図1の青い部分はほてりを感じやすいため、ここを一時的に冷やして熱を逃がす。日常ケアとしては、入浴が苦手な“冷えのぼせ”の人は、図の赤い部分を部分的に温めよう。

【ポイント2】首のうしろを温める

首は皮膚のすぐ下を頸動脈という大きな血管が通り、頭を支える大きな筋肉があるため、効率的に血液を温め、温まった血液を全身に巡らせることができる。首のうしろを温めることで副交感神経優位に切り替わり、自律神経のバランスも整う。

「交感神経の緊張をやわらげ、眠りにつくために、寝る前に首を温めながら腹式呼吸をして頭を空っぽにするのも効果的です」(南雲氏)

【ポイント3】“冷えのぼせ”の人がやってはいけないこと

一見、体を温めるのでよさそうに思われることでも、“冷えのぼせ”には適さないこともあるので気をつけよう。

・長時間の入浴
体の芯が温まるまえにのぼせてしまう。無理して続けるとあがった後にめまいを起こすこともあるので危険
・首から肩全体を冷やす
自律神経の乱れや全身の冷えを招く。熱帯夜など特別な場合を除いて首回りは冷やさないように
・首のつまった洋服
のぼせたときの汗が逃がせず、逆に体を冷やしてしまう

この人に聞きました

南雲久美子さん
目黒西口クリニック院長。杏林大学医学部卒。東京慈恵会医科大学第2内科、関東逓信病院(現NTT関東病院)消化器内科非常勤嘱託を経て、北里研究所附属東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。96年、目黒西口クリニックを開業。冷え症、自律神経失調症をライフワークとしている。

(ライター 塚越小枝子)

[nikkei WOMAN Online 2014年12月17日付記事を基に再構成]

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