同じ姿勢を続けているとカラダは動かなくなる

仕事中は席に座りっ放し、通勤時は電車の座席でスマートフォン(スマホ)にくぎづけ……そんな毎日を送っている人も少なくないはず。働き女子の疲れを蓄積させているのは「座りっ放しが原因です」と言うのは理学療法士でセラ・ラボ主宰の山口光國さん。例えばデスクワークが中心の事務職なら、1日のうちで睡眠時間や通勤などの運動時間を除くと、約13時間は座りっ放しとうい生活。
では、なぜ座りっ放しが悪いのだろう? 「どんなによい姿勢でも、ずっと同じ体勢を続けると筋肉は血行が悪くなり、関節は硬直して、カラダは疲れてきます」(山口さん)。さらに、悪い姿勢で座っていると、骨盤や背骨がゆがむ。実際、日経WOMANの読者調査では、「猫背」を自覚する人が45%、カラダのゆがみを感じると答えた人は62%もいた。
カラダがゆがむと心も疲れやすくなる
次のチェックシートを活用して、自分が毎日どれくらいの時間座りっぱなしか再確認してみよう。ゆがみがコリにつながる過程もチェックしておこう。
「ゆがみを放っておくと、カラダの左右どちらか偏った側や特定の場所の筋肉・関節に負担がかかり、コリや痛みを起こします」と、KIZUカイロプラクティックグループ代表院長の木津直昭さん。結果的に肩コリや腰痛が慢性化するだけではない。凝り固まった筋肉の周辺では、血液やリンパの流れが滞り、顔や脚がむくみやすくなる。また、「代謝が落ちて痩せにくくなったり、冷えや便秘を引き起こしたりすることも」(木津さん)。
カラダのゆがみは心の不調にもつながると、木津さんは指摘する。「猫背でいると肺が圧迫されて胸郭や横隔膜が十分に働かず、呼吸が浅くなる。これはストレスを感じているときの状態と同じ。そのためイライラ、不安も抜けにくくなるのです」
とはいえ、働いている限りは座りっ放しの生活も避けられない。だからこそ、こまめにセルフケアを行うことが大切だ。
この人たちに聞きました

KIZUカイロプラクティックグループ代表院長。オーストラリア・公立マードック大学健康科学部カイロプラクティック・スポーツサイエンス学科卒業。日本カイロプラクターズ協会正会員。東京・日本橋にて92年に独立、開院。『その痛み・不調は、座り方を変えれば消える!』(PHP文庫)など著書多数。

セラ・ラボ代表。理学療法士。群馬パース大学客員教授。昭和大学藤が丘リハビリテーション病院、横浜ベイスターズフィジカルコーチを経て、ココロとカラダのコンディショニングルーム セラ・ラボを開院。心と体を両面からケアし、健やかな生活を送るアドバイスを行う。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN2015年3月号の記事を基に再構成]