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サラリーマン大家、確定申告の注意点 第23回 サラリーマンの不動産所得

2015/3/4

■大きな経費は減価償却費とローンの利息

 ――経費の話が出ましたが、不動産所得はどのようなものを経費として計算できるんでしょうか。

 「事業所得の場合、事業に関係があって説明できるなら旅行にいっても、車を買っても、経費として計上できるんですが、不動産の場合はそういうのは少ないですね」

 「経費の中で大きいのは減価償却費、ローンの利息です。そのほか、管理費、クリーニング代、固定資産税、火災保険料、仲介手数料、広告費なども経費になります。たまに、ローン返済額を全額、経費として計算している人がいますが、これはダメです。利息部分のみですので、金融機関から送られてくる『返済予定明細書』を見て、計算しましょう」

 ――減価償却費の計算方法はかなり難しそうです。

 「減価償却費とは経費の分割払いです。減価償却資産にはそれぞれ、分割する年数が決まっいて、例えば『鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の住宅用建物』ですと47年です。例えば2000万円の建物だと、それを47年に分割して経費として計上していくわけです。ただ、単純に分割すればいいわけではなく、『定額法』『定率法』という計算方法があります。自分でがんばって計算している方もたくさんいますが、自信がないなら、会計ソフトを導入すればいいと思います。数千円のソフトで十分ですよ」

■修繕積立金も経費に計上

 ――土地は減価償却できないのでしょうか。

 「建物と違って、土地は時がたっても価値が減らない、『減価』しないので減価償却はできません。建物部分のみです。ですから、相対的に土地より建物の価格が高いマンションなどのほうが経費として計上できる金額は大きくなります。マンションの場合、土地代・建物代が一緒になった金額しかわからないという人もいるかもしれませんが、建物の価格を分離する必要があります」

 ――マンションの管理費は経費になるということですが、修繕積立金はどうなんでしょうか。

 「論点ですので、国税庁のホームページ『タックスアンサー』を見てみましょう。『原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に参入して差し支えありません』とありますね。そしてその『一定の要件』について説明していますが、つまりわかりやすくいうと、大方の修繕積立金は支払った年の経費にしていいと書いてあります。税法の原則からは外れるんですけどね」

 ――不動産関係の本を購入したり、セミナーに参加したり、不動産会社の人と飲食した場合の費用は経費になりますか。

 「グレーゾーンではありますが、賃貸事業に直接関係していて、後日、税務署から問い合わせがあっても、きちんと説明できるなら経費に入れてもいいでしょう」

 ――実際、どのぐらい税金を支払うことになるんでしょうか。

不動産収入と経費の例
収入家賃収入325万円360万円
更新料35万円
経費減価償却費140万円200万円
固定資産税30万円
ローン利息20万円
修繕費10万円
控除青色申告10万円控除10万円10万円
所得収入-経費-控除150万円

 「一例を挙げてみましょう。Aさんはサラリーマンですが、年間360万円の不動産収入があり、内訳は賃貸料325万円、更新料35万円です。さて、経費ですが、固定資産税など税金が30万円、修繕費が10万円、減価償却費が140万円、ローンの支払利息が20万円です。差し引きして不動産所得は160万円となり、青色申告10万円控除を使うので、最終的な所得は150万円になります。給与所得と合算した結果、所得税率は20%になったため、住民税率10%と合わせて、不動産所得について年間45万円の税金を払う計算になります」

 ――サラリーマンの場合、所得税は源泉徴収されているので、確定申告というと医療費控除や寄付金控除を利用するためにやるもので、申告すると「還付される」イメージがありますよね。

 「サラリーマンはそうかもしれませんね。でも不動産収入からはそもそも税金が源泉徴収されていないわけですから、赤字で貸しているという場合をのぞいて、確定申告をすれば当然、税金を新たに支払うことになります」

 ――確定申告の期限は今月16日です。まだ申告していない人は、必要書類を取り寄せたり、申告書に記入したり、がんばらないとダメですね。この春、転勤などで持ち家を貸すことになる方は、ぜひ、来年の確定申告の参考にしてください。

(聞き手は電子整理部 手塚愛実)

山田真哉(やまだ・しんや) 1976年生まれ。公認会計士・税理士。大学卒業後、予備校勤務を経て、会計・法律・経営などの勉強を始め、1年後に公認会計士試験に合格。中央青山監査法人(当時)/プライスウォーターハウスクーパースに勤務後、独立。2011年、芸能界専門に会計・税務支援を行う一般財団法人芸能文化会計財団の理事長に就任。著書の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)は160万部突破。最新刊は小説『あいるさん、これは経費ですか?』(角川文庫)。
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