女性名なぜ短く? 「凛・めい」1字・2音時代へ編集委員 小林明

AKB48の小嶋陽菜さん。名前の「陽菜」は2014年生まれの女子名人気1位に

昨年(2014年)に生まれた新生児の名前の人気ランキング(明治安田生命保険調べ)が発表された。はたしてどんな傾向や流行の法則が読み取れるのだろうか? 男性編に続き、今回は女性編を紹介しよう。

女子名で多かったのは「陽菜」「凛」「結菜」「葵」「結愛」「愛莉」「美咲」「結衣」「桜」「凜」「心春」「杏」「愛梨」。これがトップ10の顔ぶれ。首位の「陽菜」「凛」がそれぞれ4位、7位から上昇する一方、前年首位の「結菜」、前年2位の「葵」がそれぞれ3位、4位に後退するなど順位が大きく入れ替わった。

「陽菜」が首位に復帰したのは11年(平成23年)以来3年ぶり。「陽菜」は人気が高い女子名の代表格。有名人だとAKB48の小嶋陽菜さんらの名前がすぐに思い浮かぶ。一方、「凛」は初めての首位入りとなった。

「1字名」が過去最多、植物を連想させる名前

新たな傾向として読み取れるのは「1字名」が増えたこと。

トップ10入りした13の名前のうち「1字名」は「凛」「葵」「桜」「凜」「杏」の5つ。トップ100内では「1字名」が24となり、比較可能な89年以降で過去最多に膨らんだ。

「自然志向などの高まりを背景に花や果実、草木に関連する名前の人気が高まっている」(明治安田生命保険)のも「1字名」の特徴。トップ10に入った「凛」「葵」「桜」「凜」「杏」はどれも花や果実、草木に関連した名前。トップ10以下も「花」(18位)「暖」(18位)「愛」(23位)「茜」(29位)「紬」(38位)「蘭」(38位)と続き、やはり植物に関連した名前が多い。

「1字名で花や果実、草木を連想させるような自然志向のかわいい名前」が女子名の最新トレンドといえそうだ。

「陽菜」時代は後期? 新時代の兆しも

過去103年のランキング首位を追いかけると、長期的な「流行の法則」も浮かび上がる。

例外はあるが、ほぼ10年くらいの周期で「千代・文子」→「和子」→「恵子」→「久美子・明美・由美子・直美」→「陽子・智子」→「愛」→「美咲」と推移しているのだ。この法則に従えば、03年から続く「陽菜」時代はすでに後期に差し掛かっていると判断できる。

新たなトレンドも芽生えつつある。

東日本大震災が起きた11年を境に「結愛」「結衣」「結菜」など「結」がついた名前が一斉に増えたほか、「凜」「葵」などの「1字名」もジワジワと勢いを増しているのだ。昨年14年のトップ10で首位に「凛」、3位に「結菜」、5位に「結愛」、8位に「結衣」がそれぞれランク入りしたのもこうした流れに沿った現象。

常に新しさを追い求めるのが流行の法則。「結」が付いた名前か? それとも「1字名」か?――。「陽菜」時代がそろそろ幕を下ろし、新時代に移行するのもそれほど遠い時期ではなさそうだ。

3音→2音、「短縮化」は世界的な潮流

次に名前の読みの人気ランキングを見てみよう。

人気が高いのは「めい」「ゆい」「りん」「こはる」「りお」「あいり」「ひな」「あおい」「ゆあ」「はな」の順。これがトップ10の顔ぶれ。「めい」が首位に復帰するのは2010年以来4年ぶり。前年まで首位だった「ゆい」は2位に後退した。

読みでの大きな特徴は「2音名」の人気の高さ。

トップ10のうち「2音名」は「めい」「ゆい」「りん」「りお」「ひな」「ゆあ」「はな」の7つで「3音名」の3つを大きく上回っている。

比較可能な2000年からのトップ10の人気ランキングを見ても「2音名」の台頭ぶりは一目瞭然。転換点は07年。首位は07年以降、ずっと「2音名」が続く。トップ10の顔ぶれも、07年前後を境に「3音名」の勢いが減り、「2音名」が明らかに勢いを増している。07年以降で「3音名」が「2音名」を上回った年はない。

「1字名」の人気の高まりとあわせて、「女子名の短縮化」が急速に進んでいるといえそうだ。

愛称、親しみ、中性的、国際化……

では、どうして「女子名の短縮化」が進んでいるのだろうか?

関係者によると、背景には(1)呼びやすくて親しみがわく(2)発音しやすく、海外でも通用する(3)中性的で女性名として新鮮なイメージがある――などの要因があるとみられている。つまり、愛称のように短縮化した名前の人気が高まっているわけだ。

同じような傾向は米国や英国など海外でも最近、よくみられる国際的な現象だという。愛称を最初から名前にしてしまう柔らかさや気安さが今の時代の空気なのかもしれない。

末尾の7割は「か・な・い・お」

ちなみに、読みの末尾で最も人気が高いのは何かご存じだろうか?

答えは「―か」。

00年から14年までのトップ10の顔ぶれ計161のうち21%にあたる34が「―か」。次いで「―な」の33、「―い」の31、「―お」の14と続く。「―か」「―な」「―い」「―お」の4つで名前全体のざっと7割を占める計算だ。

「3音」→「2音」の流れに伴い、「3音」の末尾に多い「―か」「―み」が減り、「2音」の末尾に多い「―い」「―お」が増えるという傾向もうかがえる。

このように名前の表記も読みも人気ランキング上位の顔ぶれは昔と様変わりしている。名前の流行はゆっくりだが着実に変遷しているのだ。

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