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カタカナイケテル 大胆ロゴ、外国人「おしゃれ」

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日本語の表記のひとつ「カタカナ」が、最近ファッションの世界で注目されている。海外ブランドを中心に、デザインやプロモーションなどに用いるケースが登場。普段見慣れている日本人にはやや違和感もあるが、インパクトは絶大で、特に外国人には「おしゃれ」「かわいい」と映っているようだ。

「漢字より分かりやすいし、記号みたいで形がかわいい」。日本語を勉強しているという20代のフランス人の女性は話す。彼女が「かわいい」というのは日本語の「カタカナ」の文字のことだ。

最近、カタカナをデザインとして用いるファッションが増えている。昨年話題になったのが、アディダスの展開するストリートスポーツウエアの「アディダス オリジナルス」。2014年秋冬の婦人服で、カタカナのグラフィックを取り入れたシリーズが登場した。スエットなどカジュアルなアイテムに、アルファベットとカタカナでブランド名を大胆にあしらったデザインはかなりインパクトがある。

「斬新すぎる」「これっておしゃれなのか」「いい味出てる」「日本語っていいな」――。販売するやいなや、日本人の間でもSNS(交流サイト)上で話題をさらった。「売れ行きも含め、国内外で想定以上の反響があった」(アディダス・ジャパン)

今春夏には仏ブランド「CARVEN」からも登場。胸元にブランドの日本語読み「カルヴェン」と書かれたワンピースなどを展開予定だ。同ブランドの今春夏のテーマはスポーツの「F1」だが、デザイナーはそこに日本文化の要素を加えたという。

メンズでは、「RAF SIMONS」が今春夏向けで「ラフ」などとカタカナのロゴ刺しゅうを入れたアイテムを発表。米ブランド「COACH」も1月、15年秋冬向けのメンズコレクションのなかで、カタカナで「コーチ」と胸元に表記したTシャツを発表したところだ。

続々登場しているカタカナファッション。ブームの火付け役といわれるのが「KENZO」だ。過去にもアルファベットのロゴで一世を風靡したが、13年の春夏には、カタカナで「ケンゾー」と書かれたスエットを登場させ、世界から注目された。

同商品を取り扱うセレクトショップ「オープニングセレモニー」の表参道店(東京・渋谷)によると「まずは日本人が『新鮮』と飛びついた。その後は外国人にとにかく人気」(同店の柴田雅子さん)という。

漢字をプリントしたTシャツを好むなど、外国人の「漢字好き」は広く知られている。ただ「最近は漢字にもやや見飽きた感があり、目新しさのあるカタカナが脚光を浴びている」とみるのはファッションジャーナリストの宮田理江さん。発音と文字数がほぼ一致するのもカタカナの特徴とあって「外国人にとって、漢字よりも何が書いてあるのかがイメージしやすい」(宮田さん)。

「アニエスベー」――。現在ブランド名をカタカナ表記したショーウインドーを展開しているのが、「アニエスベー」の青山店(東京・港)。2月上旬の春夏物の展開に合わせてスタートして以降、「立ち止まって写真を撮る人が目立つ」そうだ。

デザイナーのアニエスベーさんは大の日本好き。彼女がコレクションを仕上げる最終段階で、布の切れ端を使って、自身の名前でもあるブランド名をカタカナで何気なく表現。これをきっかけにウインドーのデザインが生まれたという。

欧米ブランドでは、着物の柄や柔道の帯をイメージしたベルト、浮世絵のプリントなど、カタカナに限らず、日本モチーフが最近のブームになっている。

ファッションジャーナリストの藤岡篤子さんは「30~40代の若い世代のデザイナーの日本に対する関心が高まっている。新鮮な刺激として日本モチーフを取り入れている」とみる。

カタカナはこうした日本モチーフのひとつ。日本人がファッションで取り入れるのは勇気がいるが、着れば「クール」に見えるかもしれない。(井土聡子)

[日経MJ2015年3月4日掲載]

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