空き家対策・道の駅…マイホーム選びの注目施策不動産コンサルタント・長嶋修

韓国放送公社(KBS)から、日本の空き家に対する取材を複数回受けた。彼らは日本の空き家の現状とその対策について強い関心を示している。というのも、韓国も日本に少し遅れる形で少子化・高齢化、人口減少の波がやって来るからだ。しかもその変化のスピードは日本より速い。

日本より深刻な韓国の人口減少

韓国の国会立法調査処は2014年、合計特殊出生率が1.19人のままだと、現在5043万人の総人口は、同時進行する高齢化とあいまって56年に4000万人、100年に2000万人と半減すると予想している。さらに200年には300万人、256年には100万人となり、少子化が改善されない場合「韓国は2750年には消滅する」としている。

一部では既に空き家が問題視されていること、また都市の一部では不動産バブル懸念があることなどから、それらがより顕在化している日本が取材対象になっているわけだ。

我が国では放置空き家に対する「空家等対策の推進に関する特別措置法」が2月26日に施行済み。市区町村の権限を強化し、「放置空き家」について撤去や修繕の命令、行政代執行による解体もできるとした。

都市機能や住居を集約化

また14年8月1日に施行された「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」では、都市の集約化を進めるため、各自治体が「立地適正化計画」「都市機能誘導区域」「居住誘導区域」などを定め、容積率の緩和や、国から税財政面の支援を受けることができるようにした。一方では住宅地化を抑制する「居住調整地域」を定め、住宅等の建築を開発許可の対象とし従来より厳しく監視できるとした。

都市機能や居住の具体的な集約化立地について、鉄道のある地域ではおのずと駅中心ということになろう。では、鉄道のない地方などではどこに拠点都市集約化を図るのか。そこで国が目をつけたのが、全国に1040カ所(15年1月末時点)ある「道の駅」だ。

道の駅はそもそも、一般道路利用者の「休憩施設」「地域文化・名所・特産物などを活用した情報発信やサービス提供」また「地域連携の促進」などの効果を期待して、1993年に制度化された。今後はこうした機能に加え、「地域活性化機能」を持たせる。幅広い世代が交流する地方創生の拠点化を図る方針だ。

「道の駅」の周辺に医療・福祉機能を集約

国土交通省は1月30日、特に優れた35カ所の「重点"道の駅"」を選定、各自治体や民間事業者と連携して、その取り組みを支援する。外国人観光客の取り込みや、特産品のブランド化による経済産業振興、高齢者住宅の整備などによる都市機能の集約化をイメージしている。

鳥取県日南町では、道の駅「にちなん(仮称)」を中心として1キロ圏内に各種行政や医療・福祉機能を集約。地元産品の販売や宅配サービスで雇用を生み出し、同敷地内に高齢者向け住宅やデイサービスセンター、定住促進住宅を併設、人口の集約化と世代間の交流を促進する。

「道の駅」が全国に広がっている(岩手県山田町の道の駅やまだ)

全国モデル「道の駅」に指定されている道の駅「もてぎ」では、農家から買い取ったユズなどの地元産品を加工、33種のオリジナル商品を開発、販売。利用客、販売額ともに10年で1.3倍に増加したほか、地域の防災拠点機能も備える。

やはり全国モデルの道の駅「川場田園プラザ」。人口約3700人の群馬県川場村にあるこちらでは、朝取り野菜・ブルーベリーや乳製品などの地域資源を直売したり、商品開発・販売をしたりして80人の雇用を生み出している。

今後、各地の「道の駅」による、それぞれ特色を持った取り組みが大いに期待されるところだ。こうした情勢もにらみながら、どこに住むか、あるいは所有する不動産を売るのか貸すのかなど検討したい。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(http://www.jshi.org/)を設立し、初代理事長に就任。『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)『「マイホームの常識」にだまされるな!』(朝日新聞出版)『これから3年 不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
注目記事
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし