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3回変わる周波数・乗務員交代… 北陸新幹線「秘話」

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NIKKEI STYLE

 3月14日、東京と金沢を最速2時間28分で結ぶ北陸新幹線が開業する。東京から数えると7都県を走るこの路線、実は4つの電力会社の管轄エリアを通り、3回も周波数が変わる。JR東日本とJR西日本にまたがって走るが、乗務員の交代は境界駅ではない。なんとも複雑な北陸新幹線のトリビアを集めてみた。

東電と東北電は50Hz、中部電と北陸電は60Hz

「北陸新幹線は、『軽井沢―佐久平』間、『上越妙高―糸魚川』間、『糸魚川―黒部宇奈月温泉』間でそれぞれ周波数が切り替わります」

JR東日本に尋ねると、担当者が教えてくれた。東京方面から向かった場合、軽井沢駅(長野県軽井沢町)、上越妙高駅(新潟県上越市)、糸魚川駅(新潟県糸魚川市)を通過した直後に切り替わるという。なぜか。

「管轄する電力会社が変わるからです。東京駅から軽井沢駅までは東京電力、そこから上越妙高駅までは中部電力、糸魚川駅までは東北電力、金沢駅までは北陸電力となります」

電力会社によって周波数は違う。一般に東日本は50ヘルツ(Hz)、西日本は60Hzといわれるが、東京電力と東北電力が50Hzで中部電力と北陸電力が60Hzとなる。北陸新幹線はちょうどその境界を縫うように走っているのだ。

北陸新幹線の車両、2つの周波数に対応

周波数が違うと何が問題なのか。まずは車両だ。東北新幹線や上越新幹線の車両はほとんどが50Hzのみに対応しており、軽井沢駅より西を走ることはできない。2つの周波数に対応した車両が必要となる。

境界対策も重要となる。異なる周波数同士が接触しないよう、絶縁部分を設けるなどの対策をした。専用の保護装置なども開発したという。

ちなみに東西をまたぐ東海道新幹線の場合、すべての区間が60Hzだ。鉄道ジャーナリストの梅原淳さんによると、車両側で2つの周波数に対応するには当時の機器が重すぎたため、断念したという。そこで富士川以東の50Hz区間では、周波数を変換する変電所を新設して対応した(『新幹線の科学』)。

JR東西の境界は上越妙高駅 乗務員は長野駅で交代

ややこしいのは周波数だけではない。乗務員の運用も面倒だ。

北陸新幹線のルート上で、JR東西の境界がどこか、お分かりだろうか? 答えは上越妙高駅。東京方面から向かった場合、ここまでがJR東の管轄となる。同じ新潟県内なのに、糸魚川駅はJR西のエリアなのだ。

JR各社の管轄は、必ずしも行政区分とは一致しない。例えば長野県は北信・中信地方がJR東、南信・木曽地方がJR東海、大糸線の一部区間がJR西の管轄となっている。同じ県でも3社に分かれている。

ただ北陸新幹線の場合、運転手や車掌など乗務員は上越妙高駅では交代しない。長野駅だ。なぜか?

「上越妙高駅を通過する列車があるためです。長野駅だとすべての列車が停車するので」。JR東の担当者は言う。確かにその通りだが、JR西の乗務員はJR東の管轄する駅まで「出勤」することになる。少し不思議な感じもしてくる。

N700系のNの意味は

JR東西にまたがる北陸新幹線は、車両も両社が共同で開発した。最新型はE7系とW7系で、どちらもほぼ同じ仕様だ。EはJR東が所有する車両で、WはJR西。East(東)とWest(西)の頭文字だ。

話はそれるが、東海道新幹線の最新型はN700系。なぜ社名ではなくNなのか? JR東海に聞いてみた。

「NはNew、あるいはNextの頭文字です。それまであった700系車両の発展型という意味を込めました」

2013年にはさらに進化させたN700Aという車両もデビューした。AはAdvancedの略だとか。ちなみにJR東海の英語表記はCentral Japan Railway Company。中日本ということのようだ。仮に社名を冠したとしても、TではなくCとなる。

こうしたJR各社の英語表記は外国人からはわかりにくいかもしれない。JR東はEast Japan Railway Companyだが、英語版のアニュアルリポートでは社名の前に「Tokyo and Eastern Honshu」と表記してある。セントラルとトウキョウ。両社の思いが垣間見える。

定着しなかった長野「行」新幹線

北陸新幹線は、名称を巡って何度も論争を繰り広げてきた。

1965年、東京から長野・富山を経て大阪へ向かう新幹線の構想が持ち上がった。基本計画が決定したのが72年。そのときの名称は北陸新幹線だった(日本鉄道建設公団編『北陸新幹線工事誌』)。

しかし97年、高崎―長野間が先行して開業。正式名称は北陸新幹線だったが、JR東は「長野までの新幹線を『北陸』と案内すると乗客が混乱する」として、愛称として長野新幹線と呼ぶことを検討。すると北陸地方の自治体から「北陸の名前を残してほしい」と陳情があったという(97年5月5日付日本経済新聞)。

結局、JR東は「長野行新幹線」という名称をひねり出した。しかも「行」の文字だけフォントが小さい。駅の表示や時刻表などはこれに習った。

だが「行」は定着しなかった。長野から東京へ向かう場合も「長野行」となることに、乗客が戸惑った。JR東では当初から東京方面行きの車内では「長野新幹線」と呼んでいたこともあって、98年6月、ひっそりと名称を変更。時刻表なども長野新幹線で統一した。開業わずか8カ月後のことだった。

今回も、「長野」の名前を巡り騒動があった。長野側が名前を残すよう求めたのだ。「北陸長野新幹線」などの案が出た。

JR東は対応に苦慮。最終的に「北陸新幹線(長野経由)」という表現で折り合った。JR東の管内のみの特別措置だった。

東京―直江津なら北陸新幹線より北越急行

北陸新幹線の開業で、北陸はぐっと近くなった。その半面、割を食ったのが第3セクターの北越急行だ。

これまで東京から富山・金沢方面に向かうには、上越新幹線で越後湯沢駅に行き、そこで北越急行の特急「はくたか」に乗り換えるのが定番だった。はくたかは在来線としては日本最速の時速160キロをたたき出す名物列車だった。

しかし新幹線開業で役目を終えたとして、「はくたか」は廃止となる。乗客のほとんどを新幹線に奪われる同社が、起死回生の一手として打ち出したのが超快速列車「スノーラビット」だ。

スノーラビットは、越後湯沢から十日町を経由し、直江津へと向かう。停車駅はこの3駅。東京から直江津方面への客を取り込む狙いだ。

直江津駅周辺は新潟県西部の拠点だ。しかし北陸新幹線で最も近い上越妙高駅は、直江津駅から10キロ以上離れている。直江津駅に向かうにはそこから「えちごトキめき鉄道」に乗り換える必要がある。

では、北陸新幹線経由と北越急行経由、東京から向かう場合はどちらが早く着くのか? 時刻表を調べてみた。

北越急行スノーラビットは1日1往復。東京を朝出発する列車で比べてみよう。

7時48分東京駅発の上越新幹線に乗り、越後湯沢駅でスノーラビットに乗り換える。直江津駅到着は10時14分、かかった時間は2時間26分だ。

これに対して北陸新幹線で向かった場合、東京駅を7時52分に出て直江津駅着が10時22分。トータルで2時間30分かかる。料金も北越急行を使うより1470円、高くなってしまう。直江津に行くことだけを考えるなら、必ずしも北陸新幹線がいいわけではない。

金沢・富山への移動時間、首都圏が関西を逆転

北陸新幹線開業は、人の流れを大きく変えそうだ。首都圏と北陸が近くなる一方で、関西圏と北陸とのつながりが薄れる可能性がある。

東京から金沢まで最速で2時間28分。これに対して大阪から金沢まではJRの特急サンダーバードで2時間31分が最速。ダイヤを見ると、2時間40分以上かかる列車が多くなる。北陸は、首都圏からの方が近くなる。

しかもこれまで大阪から富山まで走っていたサンダーバードは金沢止まりとなり、富山に行くには乗り換えが必要となる。

北陸新幹線の今後も不透明だ。既に福井への延伸は決まっているものの、大阪方面への展開はルートや是非を巡り議論がある。

構想浮上から半世紀の時を経て、いよいよ幕が上がる北陸新幹線。その先に、どんなドラマが待っているのだろうか。

(河尻定)

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