まるで花粉の巣「髪」の花粉ケアを忘れずに
スギには花粉量が多い表年と少ない裏年があり、昨シーズンは裏、そして今季は表にあたる。ウェザーニューズ社の花粉予報では、関東近県と東海地方で昨年の2~3倍。ここ7年間の平均値と比較しても近畿地方以北は1.1~1.5倍と、かなり多くなる見込み(図1)だ。
飛散開始時期は、平年並みかやや早め。関東では2月初旬より少しずつ飛び始め、3月に入ってからピークを迎える。花粉量が多い年はピーク前でも気温の高い日に一斉に花粉が飛ぶ「大飛散日」がある可能性が高い。
抗アレルギー薬や点鼻薬といった従来の薬に加え、2014年10月には花粉症の根治を目指す舌下免疫療法が保険適用になった。竹内聡美院長の日本橋内科・アレルギー科クリニック(東京都中央区)ではこの治療を受けている患者が200人以上いる。「本来は飛散後の6月ごろから始めるのがベストだが、保険適用になった昨年10月から始めた人も今季はいつもより少し楽に過ごせるはず」(竹内院長)。
症状の根治が期待できる舌下免疫療法。治療開始は6月ごろに
濃度の低いアレルギー原因物質(=抗原)を含む液体の薬剤を舌下に垂らし、抗原に体を慣らしていく減感作療法と呼ばれる治療法が2014年10月から保険適用に。薬剤は低濃度から始め、徐々に濃度を上げ、規定濃度に達したら、その濃度で花粉飛散期間も含め、4、5年間投薬を続ける。自宅で毎日、舌下に垂らして2分キープし、後はのみ込む。最初の1年は2週間ごとの通院が必要で年間の薬代は約5万円(検査料、初診・再診料などは別途)。根治が期待できる一方、治療開始時期には制限があり、花粉の飛散開始数カ月前までに始める必要がある。今からだと飛散が終了する6月ごろの開始がベスト。耳鼻科、アレルギー科で相談を。
症状を抑えるには、花粉を体に入れない、家に持ち込まないことが重要だが、「家に持ち込まない」対策で意外に見落としがちなのが髪についた花粉。
「花粉は静電気で髪につきやすく落ちにくいため、髪が家に持ち込む原因に。洗髪せず寝てしまえば、寝具にも花粉がついてしまうので注意を」(竹内院長)
飛散の多い日は帽子などで髪を覆っておくといい。花粉がつきにくい繊維製の帽子や、髪に直接スプレーし、花粉をつきにくくする商品も登場している。
マスクも外出時は必ずつけて、体内に入る花粉量を極力減らしたい。今季は長時間装着でも肌などへの負担の少ない「使い心地が良い」タイプのマスクが増えている。また、ユーザーの「食事ではずしたマスクをサッとしまえるケースが欲しい」「予備も携帯したい」という声に対応し、マスクケースも商品が増えている。抗菌型、使いかけと予備を分けて収納できる2ポケット型など、機能やデザインも広がっている。
この人に聞きました
日本橋内科・アレルギー科クリニック院長。日本アレルギー学会専門医。東京女子医科大学呼吸器内科学教室、日本テレビ放送網本社専属産業医、同本社診療所長を経て、白金呼吸器・アレルギー科クリニックを開院。2011年から現職。
(ライター 竹島由起)
[日経ヘルス2015年3月号の記事を基に再構成]
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