健康・医療

日経実力病院調査

子宮がん、放射線治療も 効果は手術とほぼ同等 日経実力病院調査2014

2015/2/25

厚生労働省などのデータによると、子宮のがんは、女性のがんでは5番目に多く、年間約6700人が亡くなる。一口に子宮のがんといっても大きく分けて「子宮体がん」と「子宮頸(けい)がん」があり、それぞれ年間約1万人がかかる。

子宮のがんの手術でも腹腔鏡が使われるようになっている=大阪医科大学提供

洋ナシのような形をした子宮は、上側の丸い体部とその下の長い頸部がある。体部の内膜にできるのが子宮体がんだ。女性ホルモンの刺激や出産経験の有無、食生活や肥満などが発症にかかわるとされる。患者数は増加傾向にある。40代以降で増え始め、閉経前後の50代から60代が一番多い。不正出血などを機に異常に気づき、検査した結果、がんが見つかることがある。

治療は、進行に応じて子宮や周りの卵巣、卵管、靱帯を切除する手術が基本になる。2014年から初期のがんには傷口が小さくて済む腹腔鏡を使う手術が保険適用になった。

腹部に数カ所、数ミリメートル大の小さな穴を開けて、カメラや器具を体内に差し込む。器具を動かせる範囲が限られるため高い技術が必要になる。傷口が治るのが早く、3カ月程度で傷口が目立たなくなる。身体への負担も少ない。

08年に腹腔鏡を使う子宮体がんの手術が先進医療として認められて以降、実施してきた大阪医科大学病院の大道正英教授は「手術時間は(開腹手術より)長くなるものの、手術中の出血量は少なくて済む。短期で見るとがんを治療した予後は同じ程度と報告され、入院日数は短くなった」という。長期的な再発率などは結果が出ていない。データを蓄積していくことで明らかになると期待される。

一方、もう一つの子宮頸がんは、下部の細い部分の上皮にできるがんだ。子宮体がんとは異なり、ヒトパピローマウイルスに感染することが原因だ。

20代から30代にかけて急激に発症率が高くなり、最近は患者数も増えている。初交年齢が下がったことが要因と考えられている。初期は自覚症状がないことも多く、定期的な検査で早期発見することが確実な治療につながる。

治療は、外科手術と放射線や抗がん剤を使う方法があり、それらを組み合わせることもある。外科手術では子宮を残して患部だけを除く「円すい切除」や、子宮の摘出がある。放射線治療では「リニアック」という装置で体の外から照射する方法と、「RALS(ラルス)」という装置を膣内に入れ内部から放射線を当てる方法がある。2つを組み合わせながら、うまくがんに放射線が当たるようにするのが基本だ。

学会の治療のガイドラインでは、早期の場合は外科的な手術と放射線治療の効果はほぼ同等とされている。進行した場合では放射線治療が主になる。日本では初期の症例には手術が優先される傾向にあった。米国などでは放射線治療を選ぶ患者が多く、最近は国内でも積極的に自分で情報収集をし、手術をしない方法を検討する患者も増えている。

今回の調査で子宮のがんで「手術なし」が全国で2番目に多かった静岡県立静岡がんセンターは、「手術と放射線治療などを同等に扱っていることが、症例が多い要因ではないか」(平嶋泰之部長)と分析する。

子宮のがんについて、患者に説明して治療法の選択肢を伝える(静岡がんセンター)

同センターは、外科手術を担当する婦人科と、放射線治療科の両方を受診することを患者に勧めている。一方だけでは医師が自分の担当分野を重視する説明になりがちで、それぞれの医師の説明を聞いたうえで、患者自身が選択できるようにするのが目的だ。

センターによると、両科の説明を聞いた患者の約3割が放射線治療を選ぶ。手術が重視される傾向が強い中では、比較的高いという。ただ、年齢的に合併症のリスクが高くなり手術ができない人や、放射線照射を避ける必要がある人もいる。

こうした方式は患者の選択肢を広げ、納得できる医療につながる。ただ有効に運用するためには、科の枠を超えた連携が欠かせない。平嶋部長は「症例によっては婦人科や大腸科、形成外科なども交えて手術日程や手順を決める必要もある。センター内では意識的に互いに声をかけやすいようにしている」と話す。

■子宮がん治療の実力病院(50病院)

※(地域別詳細版)はこちらを参照

【調査概要】 調査は(1)症例数(診療実績)(2)医療の質や患者サービス(運営体制)(3)医療従事者の配置や医療機器などの設備(施設体制)の3つの視点で、病院選びの際に参考となる情報を、インターネット上の公開データから抽出して実施した。
診療実績 厚生労働省が2014年9月に公開した13年4月~14年3月の退院患者数を症例数とした。病名や手術方式で医療費を定額とするDPC制度を導入・準備中の全国1741病院を対象にした。表では「手術あり」と「手術なし」の合計の上位50病院を掲載した。症例数の前の*は0~9例の誤差あり。「-」は0~9例で詳細不明。
運営体制 公益財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)が病院の依頼を受け、医療の質や安全管理、患者サービスなどを審査した結果を100点満点で換算した。点数の前の*は同機構の評価方法「3rdG」での結果が公表されている病院で、S=4点、A=3点、B=2点、C=1点として計算した得点を100点満点に換算した。
施設体制 医師や看護師など医療従事者の配置や、医療機器など、厚労省が定めた診療報酬施設基準を満たしたとして各病院が届け出た項目を比べた。14年9~10月時点での届出受理医療機関名簿を集計した。

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