チョロチョロ…ヘビのように舌を出すハチドリ
コスタリカ昆虫中心生活
ハチドリというと、日本のみなさんには「珍鳥」かもしれない。でもコスタリカでは、日常的に見かける鳥。なかでもぼくが住んでいるラボの周辺で最もよく出会うのが、写真のフジノドシロメジリハチドリ。前回の「茂みで見つけた笑顔のツボミ」で紹介した、庭先の花の蜜を吸っているハチドリだ。
外で昆虫の観察をしていると、「ブルルルルルルルッ」と、ぼくを「観察」するかのように、周りをしばらく飛ぶことがある。オートバイのエンジン音を小さくしたような羽音が、やさしく耳の中に飛び込んできて心地よい。
なわばり意識が強いのか、オス同士が追っかけ合いしていることも多い。「チュルルルルルッ、チュルルルルルッ」と鳴きながら猛スピードで飛ぶので、その動きを目で追うのがやっとだ。
花の蜜を吸い終わると、近くの薄暗い茂みに入って枝に止まり、キョロキョロあっちを向いたり、こっちを向いたり、足で頭をかいたり、羽繕いをしたりしている。
羽繕いの合間には、くちばしを「アヒル」のように軽く開いて、そこから白くて長い舌を出したりひっこめたりもする。ヘビが舌をチョロチョロ出すようなしぐさだ。きっと花にくちばしをつっこんでいるときも、こんな風にチョロチョロと蜜をなめているのだろう。
最後に、前回に引き続きハナグマのピソちゃん(コスタリカではハナグマは「ピソテ/Pizote」と呼ばれている)の写真を掲載しておこう。
ピソちゃんが脇の下あたりをかいている。ダニやツツガムシにかまれて、かゆいのかもしれない。コスタリカは乾期に入って、これらの「ムシ」が増えた。ぼくも、日に日にツツガムシにやられていきかゆい、カイカイ~だ。
1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学でチョウやガの生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[Webナショジオ 2014年2月12日付の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。