花金、アベック…ネットでよみがえる「死語」の法則
日経エンタテインメント!
「シェー!」「ズコッ!」「僕は死にましぇん!」「許してちょんまげ」など、かつて一世を風靡した言葉を、幼児や小学生が使っている。人気アニメ『妖怪ウォッチ』で用いられたからだ。それ以外にも、放送中のアニメ『ハピネスチャージプリキュア』では「おたんこなす」ほか、アニメの世界における過去の流行語の利用が目立つ。
この背景には、子どもと一緒にテレビを見ている親や祖父母も面白く見続けられるようにという配慮があり、アニメのヒット手法としては定番ともいえる。
「死語」は現代社会の潤滑油
一方、古い言葉を使って楽しむ傾向は、学生や社会人が利用するツイッターなど、SNS(交流サイト)にもよく見られる。例えば、若者が「今日は帰ってバタンキュー」とわざと古い流行語を書き込み、「バタンキューって、もう"死語"でしょ(笑)」とつっこみが入る。元来「死語」は古代語など、滅びてしまった言語を指すが、ネットの世界では時代遅れな言葉を大げさに「死語」と呼ぶ。ネットもアニメと同様、多世代が同時に楽しむ世界であり、若い世代がわざと使い、多世代を取り込む手法は共通だ。
そこで、編集部では2014年6月から12月上旬まで約半年間分、ツイッターで「死語」を含むツイートを検索。「死語」と称された500語以上を抽出した。ネットでの死語の使い方を見ると、むやみやたらと使っても会話は広がらないようだ。顕著だったのが、時事ネタをフックにするケース。例えば、2014年11月に衆議院が解散し、選挙が決まると、「"マニフェスト"なんて、もう死語だよ」といったツイート、俳優・高倉健が死去したころには、「任侠(にんきょう)や仁義という言葉は死語になっちゃうのかな…」と悲しみのツイートがあった。
もうひとつ、多かった傾向は、「○○って死語?」と自分の世代のアピールに使うケースだ。匿名性の高いネットの世界では、死語ネタで属性を探り合うようだ。
注意が必要なのは、マニアックな言葉をネタにしても、場の反応は薄いこと。メジャーな言葉を選ぶさじ加減、そして、自分のパーソナリティーがうまく伝わるワードのチョイスがポイントのようだ。LINEでは「死語」のスタンプも登場するなど、古い言葉を多く知り、うまく使うのがネットで人気者になる秘訣かもしれない。
(ライター 安保有希子、日経エンタテインメント! 白倉資大)
[日経エンタテインメント! 2015年2月号の記事を基に再構成]
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