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新橋と野毛 女子に染まるおじさんの街

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NIKKEI STYLE

東京・新橋と横浜市の野毛(のげ)地区。飲み屋が軒を連ねる「おじさんが集う街」を訪れる若い女性が増えている。会社帰りに少人数や1人でぶらりと訪れ、はしご酒を楽しむ。イタリアンバルが増えたり洋菓子店が出店したりなど、街も少しずつ女性向けになってきた。なぜ女性たちはおじさんの街に向かうのか。街の女子化現象を探った。

新橋はコスパが魅力「客単価は銀座の半値以下」

「わーすごい!」。1月29日午後9時の東京・新橋。中高の同級生という26歳の会社員の女性4人は、運ばれてきた「お刺身六点盛スペシャル」を見て歓声を上げた。

まぐろ、真アジ、かんぱち、生ガキ……。メニュー名は「六点盛」だが、皿には海の幸が10種類以上載り、価格はこれで税抜き1980円。4人でも十分な量だ。「おいしいし安いので、頻繁に来てます」「おじさん多いけど、全然気にならないよね」。茂野桃子さんと田中早紀さんは話す。

サラリーマンの街、新橋に女性が増えている。一役買ったといわれるのが、この女子会が開かれていた「路地裏魚金」など、新橋で13の人気店を展開する魚金(東京・港)だ。メーカーや個人事業主など男性色の強い事業所が集まっていた街に、汐留の再開発により、電通や資生堂、日本テレビなどが進出したのは2000年代初頭。以降、新橋には徐々に女性が流入していたが「女性客が増えたのは3~4年前から。現在、新橋エリアの店舗では客層の3割を占めるまでになった」(魚金)。

ただ、同社はあえて女性を意識してはいない。「メニューも価格設定も、ターゲットは創業から一貫してサラリーマン」(同)。この数年で、女性たちのほうが新橋にはまり始めたのだ。

どこに引かれているのか。最大の魅力はサラリーマンがお小遣いで楽しめることが前提のコストパフォーマンスの良さだ。例えば魚金は、築地市場から直接かつ即日支払いで仕入れることでリーズナブルな価格を実現し、飲んで食べて客単価は3千~3500円。「新橋エリアは銀座と比べると客単価は半値以下」(大手デベロッパー)という。

都内で賃料が高騰を続けるなかでも「高額賃料の見込める物販店が出店しにくいエリアのため、賃料上昇には限度がある」。不動産情報サービス大手CBREの金谷瑞恵アソシエイトディレクターは分析する。

「銀座と違って店がひしめき合い、ふらっと寄れる」。姉妹で飲んでいた会社員の戸蒔静果さん(38)がこう話すように、事前予約なしに立ち寄れる下町的な気軽さがあるのも魅力の一つだ。

「都内で1階の路面に飲食店が集積する珍しいエリア」(CBREの金谷氏)。上層階に飲食店が集中する銀座や新宿などと比べて「店内の様子を見ながら、気に入った店にふらりと入れる」(都内の会社員の女性、33)。カウンターや立ち飲みスペースを設ける店も多く、「ひとりでも」「短時間でも」利用できる点が評価されている。

「サトウ注ぎください」――。昨年2月に開店した「ブラッセリービアブルヴァード」で客の半数が注文するのが、泡や炭酸の量を変えた3種類のつぎ方を選べるスーパードライ。中でも有名なのが、代表の佐藤裕介さんがつぐ炭酸を適度に抜いた「サトウ注ぎ」だ。

地権者が入り乱れ、1店あたりの坪数が小さいため比較的出店しやすく「この数年、ネタになるような個性的な店が増えている」(新橋経済新聞の小野寺学編集長)ことも女性の心をくすぐる。

女性が増えるのに伴い、新たな消費も生まれている。東京・自由が丘に本店がある洋菓子店「オリジンーヌ・カカオ」は13年春、新橋店を開店した。「女性比率は4割。客単価は本店よりも高く、感度の高い『大人』の客層」(川口行彦シェフ)という。

昨年11月には、ニュー新橋ビルに「手織り工房 仁佳」が開店。店内の織り機で、マフラーや洋服などを織るサービスを提供する。「同じことを繰り返す織物の作業はストレス発散になると、仕事帰りの女性が多い」(代表の斉藤美佳子さん)

昨年6月には「増える女性を意識した」(森ビルの吉田誠営業企画部課長)という虎ノ門ヒルズが開業。20年以降はSL広場などを含むJR新橋駅西側の再開発により、高層ビルの建設などが予定されており、さらに女性を呼び込む可能性もある。

元OLが相次ぎ出店、女性が女性を呼ぶ野毛 

約600店の飲食店がひしめく野毛。1月下旬の金曜夜、多くの20代後半~30代の女性たちが訪れていた。「しゃれた店が増えていると聞き、初めて来た。いろいろなワインを気軽に飲めそう」。仕事帰りという会社員の鈴木由美さん(33)と大川和美さん(33)は、ずらりと並ぶ飲食店を前にうれしそうだ。

10年前の野毛は女性が気軽に飲みに行ける場所ではなかったが、2004年、東急東横線の横浜―桜木町間が廃止されると「ぱったり人が来なくなった」(野毛飲食業協同組合の田井昌伸理事長)。座席数10~15ほどの空き店舗が出始め、割安の家賃に目をつけたのが飲食店開業をめざす主に30代だった。若い感性を生かし、女性を意識した店づくりが進んだ。

その1つが07年オープンのピザやパスタなどをワンコイン(500円)で提供する「イタリアンバル バジル」。代表の奥山雄さん(40)は新橋でスペインバルが出現し始めたことに着目、「野毛にも女性を呼び込める」とみた。同店は女性客の比率が男性を上回り、その後、カフェやワインバーなど女性を意識した店を野毛に5店出した。

「おじさんだけの街ではないのね」。バジルの存在を知った元OLの栗本栄美さん(41)はダイニングバー「羹屋はな」を08年に開いた。「女性だって本当ははしご酒がしたい。野毛を女性が来やすい雰囲気にしたかった」。はなに続き、普通のOLだった女性たちが次々と店を出した。

既存の飲食店主も、彼女たちを「温かく迎えた」(田井理事長)ことで、女性経営者の店は飲食店だけで約10店に。女性が女性を呼び、ここ数年で流れは勢いづいた。

常連のおじさんたちは肩身は狭くないのか。街を歩く男性10人に聞いたところ全員が「大歓迎」。だが実際には、時に「落ち着かないという声もあがる」(栗本さん)。そんな時には男性と気が合いそうな女性を近くの席に案内する。野毛では、どの店でも知らないもの同士が気軽に会話ができる雰囲気がある。

野毛には会社に勤めながらスナックを営み、週末ママとして働く女性も。「はる美」を営む高村典子さんは40代だった約10年前、同世代女性3人とお金を出し合い、店を開いた。「働く女性がぶらりと1人で来れる居場所を作りたかった」

店には30~40代の会社帰りの女性客3人がくつろいでいた。「肩書や職業に関係なく会話ができ、愚痴も言える」とメーカー勤務の女性。野毛には今、出店希望者が殺到している。

増える女性の「外飲み」、ボトルキープも当たり前

女性の社会進出に伴い、日常的にお酒を飲む女性は増えている。サントリーの昨年5月の調査では、「1カ月に外でお酒を飲む」と答えた女性の割合は50%。2010年に比べ8ポイント上昇。外で飲む量も11年比で4割増えた。「フレーバー焼酎などアルコール度数10~20程度のお酒をボトルキープするなど中高年男性の飲み方を女性も当たり前のようにする」(同社)

そしてお酒を飲むようになった女性はおじさんの街へ。好景気の時は「駅ビルの中の店=安心」と安定感や店の雰囲気を重視したが、今はコスパや個性を重視する。

その点、新橋、野毛は他の街に比べてチェーン店が圧倒的に少なく、コスパの良い個店が多い。仕事や人間関係に疲れた女性にとって「店主やほかの客とのたわいない会話が息抜きになっている」(32歳・女性)。

電気街、秋葉原(東京・千代田)でもネイルサロンやおしゃれなカフェが増えている。街を変えるのは企業主導の再開発だけではない。女性の社会進出と共に街の女子化はまだまだ進みそうだ。

(大岩佐和子、井土聡子)

[日経MJ2015年2月6日掲載]

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