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体脂肪をふやす原因、揚げ物より甘い物

2015/2/15

日経ヘルス

「ダイエットを成功させるにはまず体脂肪を落とすこと」。そう思ってダイエットを頑張っている人は多いはず。でも決して、体脂肪=悪者とは限らないことを知っていますか? 大切なのは、脂肪のことをよく知り、“余分な”体脂肪を増やさない・ため込まないこと。そのための基礎知識をご紹介します。
■体脂肪は増えすぎると悪さをする

肥満のもと、とつい敵視してしまう脂肪だが、「そもそも体脂肪は、必要なときに体にエネルギーを提供する“貯蔵庫”の役目を果たすもの」とエミリオ森口クリニックの板倉弘重理事長。なくてはならないものなのだ。

体脂肪は主に「皮下脂肪」「内臓脂肪」の大きく2つに分けられる。「これら2つの『脂肪組織』は、食肉の脂身のようなもの。脂肪をため込むことに特化した『脂肪細胞』が集まって形成される」(板倉理事長)。

脂肪細胞の中には、エネルギー源としての脂肪が、中性脂肪の形で蓄えられている。脂肪細胞は、太っている人だけでなくやせている人にもあるのだが、細胞の中に入っている中性脂肪の量が違う。食べすぎなどでエネルギーが過剰なときには中性脂肪が大量に蓄積され、脂肪細胞自体が肥大化する。

肥大化した脂肪細胞からは生活習慣病を加速させるホルモンが分泌。さらに、「増えた中性脂肪は血管や筋肉、肝臓といった臓器の細胞にも取り込まれ、血管や細胞、臓器、筋肉などの機能を下げてしまう」(板倉理事長)。脂肪が本当の“敵”となるのは「増えすぎ」たときだ。

【体脂肪が増えるのは主に2カ所】

・皮下脂肪

全身の皮膚のすぐ下にある脂肪組織で、外の刺激から身を守るクッションのような役割を果たす。また、体の熱を維持する働きもある。運動しても使われるのは内臓脂肪の次となるため、一度ついたら減りにくい。

・内臓脂肪

多くの内臓は表面が膜に覆われている。その膜と内臓のすき間や、膜と膜とのすき間に脂肪細胞があり、内部に中性脂肪が蓄積。体でエネルギーが不足すると、内臓脂肪はすぐに分解されて肝臓に運ばれ、使われるので減らしやすい。

(イラスト:三弓素青、以下同)
・脂肪肝≠内臓脂肪
脂肪肝とは、肝臓の肝脂肪の中に中性脂肪が蓄積した状態。一方、内臓脂肪は脂肪をためるための組織であり、脂肪細胞の中に中性脂肪がたまっている。両者は異なるものだが、いずれも食事等の見直しが大切。
脂肪細胞は肥満に関わるホルモンの分泌器官でもある。大きさが正常なら、肥満を抑制するホルモンを放出するが、中性脂肪をため込みすぎて肥大化すると、肥満につながる悪玉ホルモンを放出し、善玉ホルモンは減る
■甘い物の食べすぎで“脂身”が体内で作られる
甘い物などを食べすぎて、エネルギーとして使われずに余ったブドウ糖は、肝臓や筋肉にも取り込まれるが、その量には限りがある。残った分は脂肪細胞に入り、中性脂肪に形を変えて蓄積される

甘い物を食べすぎたら太る。このことは常識として知っていても、「糖」がそのまま体の“脂身”に直結することを認識している人は意外と少ないのでは?

「体脂肪を増やしたくないからと揚げ物や肉の脂身をほとんど食べないようにしている人がいるが、一方で甘い物を食べすぎていれば結局、体脂肪は増えることになる」(板倉理事長)。

というのも、中性脂肪を作る2大原料が糖質と脂質のため。

「糖質は砂糖やご飯、パン、麺などに多く含まれる。食事から摂取した糖質は胃や小腸などでブドウ糖に分解された後、血液によって全身に運ばれてエネルギー源となる。ただし、糖質を過剰に摂取すると、それを分解したブドウ糖も過剰になり、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇する。すると、インスリンが多く分泌され、ブドウ糖は筋肉や脂肪細胞に取り込まれる。このとき、脂肪細胞の中でブドウ糖は脂肪酸に変化するのだが、その種類はステアリン酸やパルミチン酸といった肉の脂身に多い飽和脂肪酸」(板倉理事長)。糖のとりすぎが“脂身”の多い体へと直結する理由だ。

「血液中のブドウ糖は、食後1時間ぐらいに最も増え、過剰分はすぐに脂肪へと変化していく。脂肪に変えずエネルギーとして使うには、食後できるだけ動くのがお薦め」(板倉理事長)

■脂質もとりすぎると体内にたまる一方

糖質オフダイエットが広く知られるようになり「糖質さえとりすぎなければ、たんぱく質や脂質はどれだけとっても太らない」と考えている人もいるかもしれない。しかし、脂質も過剰に摂取すれば、やはり肥満の元となる。

例えばビタミンCのような水溶性成分の場合、必要以上に摂取した分は尿中に排出される。だが、「水溶性成分とは異なり、脂溶性の成分は必要量を超えた分も体内に蓄積する。脂質も同様で、多すぎる分を体外に排出する仕組みは体に備わっていない」(板倉理事長)。

ごく一部には、体脂肪となりにくい脂質もある。ココナツ油などに多い中鎖脂肪酸は肝臓に入りエネルギーとして使われる。魚油に多いDHAやEPAは中性脂肪を減らす働きがある。「これらを除くと、油の種類によって脂肪のつき方に大きな差があるわけではなく、問題なのは量。どんな油でも、とりすぎないことが大切」(板倉理事長)。

食事で摂取した脂肪を必要以上に体内に取り込まないためには、食物繊維など、脂肪を吸着して便中に排出する成分を一緒にとるのも効果的だ。

■脂肪細胞は大人になっても増える

「脂肪細胞の数は子どものころに決まったら、一生変わらない」という説があるが、実際のところはどうなのだろう。

「脂肪細胞の数が急激に増えるのは幼児期と思春期の2回で、このとき、数はある程度決定される」とエミリオ森口クリニックの板倉弘重理事長。しかし、「太りすぎると大人になっても増えることはある」。

「糖質や脂質のとりすぎなどでエネルギーが過剰になり中性脂肪が蓄積されると、脂肪細胞はどんどん肥大化していく。これ以上脂肪をため込めないという限界まで大きくなると、脂肪細胞の赤ちゃん(前駆脂肪細胞)が脂肪細胞となり、脂肪細胞の数が増える。実際に、肥満の人には大小の肥満細胞が混在している」(板倉理事長)。

女性の場合は女性ホルモンのエストロゲンが減少する更年期になると内臓脂肪が増えやすくなる。脂肪を増やさないためにも、脂肪をため込まないような生活習慣を継続していくことが大切だ。

この人に聞きました

板倉弘重さん
エミリオ森口クリニック(東京都品川区)理事長。国立健康・栄養研究所臨床栄養部長などを経て、現職。動脈硬化疾患の予防と治療に関する栄養学的研究を専門にしている。著書は『コレステロールが下がる29の習慣』(KADO KAWA)ほか多数。

(ライター やまきひろみ、構成 日経ヘルス 大屋奈緒子、監修 板倉弘重)

[日経ヘルス2015年2月号の記事を基に再構成]

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