当たればありがたいけど……　占い信じますか

妻の占い好きは今も変わっていない。朝はよくテレビで「今日のラッキーカラー」をチェックしている。出勤前で慌ただしいはずなのに、ラッキーカラーを服装に取り入れようとして着替えることだってある。詳しくは話してくれないのだが、繁華街で占師に運勢をみてもらったこともあるようだ。

どうしてそんなに占いがいいのだろう。いつだったか「科学的根拠がないのにそんなに信じてどうするの」と、正直な感想を言ってしまったことがある。そのときの彼女の沈黙は怖かった。

最近は「あなたって、おうし座でしかもO型でしょ。だからのっそりしているのよ」なんて言われることがあるから、占いはありがたいものではなくなっている。それにしても、科学的根拠のないぼやきはやめてほしいなあ。

昨年春ごろ、驚くほど当たる占師がいると友達に誘われた。鑑定料は30分で3000円。恋愛、結婚、人間関係、仕事などからテーマを2つ選んで相談できるという。私は仕事と恋愛にしてみた。

私より少し年上風の女性占師は水晶玉を見つめて言った。「仕事では変化の大きい時期ですね。つらいかもしれませんが、焦りは禁物です」。ハッとした。3月に会社の人事異動で部署が変わり、慣れない業務で失敗ばかりしていた。「大丈夫。次第に力がみなぎってきますよ」

会社員なら誰にでも当てはまりそうな言葉だし、未来なんて誰にも分からないことは承知している。でもそのときの私にはうれしく響いた。背中をそっと押してもらいたかったのかもしれない。

悩みを相談する相手を選ぶのは案外難しい。占師は同僚でも家族でもないから格好つけない気持ちを吐露でき、鑑定後に気分はすっきり。3000円の価値はあったかも。

一緒に行った友達は半年後、「予言通り転職先が見つかった」と興奮気味に報告してきた。私は恋愛占いで「今後1年間は12年に1度のモテ期です」と言われたが、その兆しは全くない……。モテ期の到来はいつ？　雑誌の星座占いでも見てみようっと。