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子どもの習い事、送迎どうする?知人同士助け合い

2015/1/27

英会話にピアノ、水泳やダンス、お習字……。子どもの習い事への親の関心は高い。ただ何かと忙しい子育て世代にとって、送り迎えの負担は大きい。普段より早い時間帯に送迎する必要があり、共働き・フルタイム勤務の夫婦ではとても続かない。でもあきらめたくはないという親は多い。ハードルを乗り越える試みが広がりつつある。

槇本さん((右)から2番目)は「子育てシェア」を利用し、保育園からピアノ教室への送迎を鈴木さんに(左)に頼んでいる

「もうお稽古事に通わせる余裕はないって夫に言われたけれど、送り迎えさえ何とかなれば」――。東京都練馬区の会社員、大村祐子さん(31、仮名)は長女(4)の英会話教室通いが実は綱渡りで成り立っていたと痛感している。週2回の送り迎えを任せていた近所に住む母(68)が体調を崩して昨年末から入院したのがきっかけだ。

母不在だと難しい

普段は午後6時半までに保育園に迎えに行けるように仕事を終えているが、午後4時前の教室への送迎には間に合わない。当面は知人に頼んだり、ベビーシッターを使ったりするつもりだが、母の入院が長引けばもう難しい。「無理して通わせなくても」と思う時はあるし、親戚にそう諭されもしたが、「教室を楽しみにしてきた娘をみると、できれば続けさせたくて」。

共働き夫婦でも、子どもの可能性は広げてあげたいのが親心。だが、すぐ送り迎えを頼める存在が身近にいる人は限られている。

日本交通(東京・北)のキッズタクシーも習い事への送り迎え利用が増えている

ではどうすればいいか。パターンはいくつかある。まずは頼める人をつくるケースだ。愛知県刈谷市の会社員、槇本文緒さん(35)は年明けに育児休業から職場復帰するに当たり、長男(5)が週1回通うピアノ教室をどうするか悩んでいた。次男(1)と一緒に預けられる保育園は何とかみつけたが、仕事を終えてから園に迎えに行き、教室まで時間通りに送り届ける余裕はなさそう。でも「親の都合で無理というのは抵抗があった」(槇本さん)。

そこで頼ったのがAsMama(アズママ、横浜市)の「子育てシェア」。交流イベントなどで近所に子育て世代の顔見知りをつくり、1時間当たり500~700円の謝礼で子どもを預け合う仕組みだ。槇本さんは自宅でアート教室を開く鈴木未樹さん(34)と出会い、ピアノ教室への送迎を頼んだ。「謝礼も決まっているし、互いに気軽に利用できる」(鈴木さん)

住民同士の預け合いを行政が仲介する会員組織「ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)」もある。東京都港区の「育児サポート子むすび」は1回2時間程度(1時間当たり800円)の短時間が基本で、送迎に使う親が多いという。研修を積んだドライバーが送迎代行する日本交通(東京・北)のキッズタクシーは「利用件数は年々倍増。今は月500~600件で、仕事が追いつかないくらい」(総合営業課)。

こうした送迎支援の取り組みは地域ごとに内容が違い、利用したい場面によって向き不向きもある。例えばファミサポは事前の顔合わせなどに手間がかかる。送迎費用も考えつつ、場面を想定して使い分けようという人が多い。

最近は習い事の教室が送迎するケースも目立ってきた。東京・赤坂の「StudioMuku(スタジオミューク)」はダンスを中心に英語、習字など幅広いカリキュラムを用意している。都心という立地もあって働く女性の利用が多く、「私たちが少しお手伝いすれば続けられるなら」(運営する林選さん=53)と、スタッフが保育園まで迎えに行くようになった。

■保育園は習い事

迎えに行く日は親にあらかじめ「園への連絡お願いします」などとメール。送迎費用は1回当たり500円を月謝に上乗せする。「子どもも喜ぶし、すごく助かる」と感謝の声が寄せられている。

学習塾「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンは学童保育と習い事の教室「明光キッズ」で送迎サービスを2013年4月に本格開始。4月には都内6カ所に増やす考えだ。ほかにも「英語を教えられる」など付加価値の高いベビーシッター会社が登場、習い事と保育両方がまとめてできると人気だ。

さらに4月に子ども・子育て支援新制度が始まり民間参入が一層促されると、保育園自体が習い事のカリキュラムを充実させる動きも広がりそうだ。育児情報誌「赤すぐ」の佐々木寛子編集長は「保育園への期待は大きい。民間企業が英語やスポーツ、芸術などの講師を園に派遣する動きも加速する」と強調する。

父母・祖父母から子・孫への教育費の贈与が非課税になる期間が15年末から19年3月末まで延長されるのも、塾などの消費には追い風だ。「子どもに習い事をさせたい人の割合は20~30歳代で6割。これは共働きでも専業主婦でも差がない」(佐々木編集長)。親の習い事熱が送迎問題の解決策をさらに増やしていくのかもしれない。

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