マネー研究所

税を知る

確定申告と控除の基本 自分にかかる税を理解する

2015/1/29

 今年も確定申告のシーズンが近づいています。サラリーマンには縁がないと思う方も多いかもしれませんが、確定申告は日本の税制の基礎となるとても大切な仕組みです。その意味について、青山学院大の三木義一教授に聞きました。

■建前では「税額は納税者が決める」

 ――そもそも確定申告とはどういうものですか。

 日本は申告納税制度といって、納税者が自分で税額を計算し、税務署に申告する仕組みを採用しています。税務署ではなく納税者自身が税額を確定させるので、この申告を確定申告というのです。難しい言い方をすれば自分の租税債務額を自ら確定させる行為で、とても重い意味を持ちます。

 申告納税制度は戦後に米国の意向で導入されたもので、それまでは欧州で広くみられる賦課課税制度という仕組みでした。この制度でも納税者は申告書を提出しますが、計算するのは税務署で、税額は税務署が下す処分によって初めて確定します。

 戦前の日本の場合、市町村ごとの所得調査委員が申告書を見ながら、「この人はもっと所得が多いはずだ」などと税務署に助言していました。米国は、地域の事情をよく知る有力者が調査委員を務めるこのやり方を「古い社会そのもの」と批判し、申告納税制度への切り替えを迫りました。

 ――正反対の制度になったということですね。切り替えはうまくいったのですか。

 税を集める側からすれば賦課課税制度の方が裁量が大きいですから、大蔵省(現財務省)は最後まで抵抗しました。結局は変更を受け入れざるをえなくなりますが、土壇場で年末調整の制度を滑り込ませます。これによって、国は徴税の手間を企業に押しつけたのです。

 所得税はその年の所得に対してかかります。所得とは「収入-必要経費」なので、本来であれば1年の収入と経費の総額が確定しなければ税額も分かりません。ところがサラリーマンの場合、毎月税額分が差し引かれて給料が支払われていますよね。これが源泉徴収です。企業が社員それぞれの年収を想定して、あらかじめおおよその税額を計算しているのです。経費については実額で処理すると企業が大変なので、給与所得控除という仕組みで、収入が同じなら経費も同じとして一律で差し引いています。

 最後に年末調整で1年分の誤差を修正すれば、サラリーマンの納税額は企業が確定できます。その結果、サラリーマンの大半は確定申告をしなくてよくなりました。日本の確定申告の件数は2000万を超える程度で、申告納税制度の国なのにしない人の方が多いのです。米国やカナダなども申告納税制度ですが、これらの国では大ざっぱに源泉徴収して、確定申告で調整しています。もちろん経費は実額で計算するので、たとえばカナダでは納税者のうち確定申告をする人の割合が9割を超えています。

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL