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保険の新常識

金利低下で苦境 「保険で貯蓄」考え直す好機 保険コンサルタント 後田亨

2015/1/26

 長期金利の低下で、貯蓄型保険が苦境に立たされています。明治安田生命保険が一時払い個人年金保険、第一生命保険とソニー生命保険が一時払い養老保険の取り扱いをやめたのに続き、日本生命保険は一時払い終身保険の保険料を2月から約1~2%引き上げると発表。富国生命保険も一時払い養老保険と定額年金保険の販売休止の検討に入ったと報じられています。私は消費者が保険の意義やコストを見つめ直すいい機会だと思っています。

金利低下で販売停止が相次ぐ貯蓄型保険。そもそも代理店手数料などのコストが高いため、貯蓄には向かない商品だ

 保険を利用する価値は、万一のときに貯蓄では賄えそうにないまとまったお金を、比較的少ない負担で早く用意できることにあります。月々同じ額を同期間にわたって支払いまたは積み立てるケースで比べてみると、保険では例えば35歳の男性が月1500円程度の保険料を10年間払い込めば1000万円の死亡保険金を確保できます。個々の加入者の保険料を保険会社が共有財産として管理し、不測の事態が起きた人のために使う相互扶助の仕組みだからです。

 これが貯蓄だと、ゼロ金利の場合月1500円を10年間ため続けても18万円にしかなりません。その代わり自分でためたお金は(預けた金融機関が破綻した場合はペイオフの範囲内で)すべて自分に戻ってきます。保険のような仕組みではないぶん、自分が払った保険料が見ず知らずの加入者の保険金支払いや、保険会社の経費に使われて「掛け捨て」に終わることはないのです。

 保険と貯蓄をどう使い分けるかは個人の自由ですが、こうした「助け合い」と「自助努力」の違いさえ割り切れば、私は貯蓄目的で保険に入る必要はないと思っています。保険ならではの機能はあくまで相互扶助によって成り立つ保障であって、貯蓄ではないからです。

 「そうはいっても保障だけで掛け捨てになるのはもったいないから、どうせなら貯蓄性もある保険を選びたい」という人もいるでしょう。しかし保険会社で長年、商品設計にかかわってきた人のこんな本音を聞くと、また違った見方ができるのではないでしょうか。「損か得かでいえば、ズバリ『掛け捨ては得』ですよ」――。

 つまり保険を利用する以上、あくまで「主」としてまず求めるのは保障であって、貯蓄機能はそれに付随する「従」のはずです。保険ならではの保障は掛け捨てになるお金があることで維持されるのだから、その効用を積極的に評価すべきなのだ、というわけです。

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