キャリアアップ支援「教育訓練給付金」 MBAも対象
2本立てになった教育訓練給付金
「教育訓練給付制度」とは、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または一般被保険者だった退職者が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講したときに、教育訓練にかかった経費(入学料や受講料など)の一部について、ハローワークから給付金の支給を受けられるという制度です。
この従来からある制度(一般教育訓練の教育訓練給付金)に加えて、2014年10月1日より「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」が追加され、2本立てとなりました。
厚生労働大臣の指定を受けた専門的・実践的な教育訓練を受講する際に、教育訓練経費の40%(年間上限32万円)にあたる給付を最大で3年間受けられます。
この専門実践教育訓練には、どのようなコースがあるかというと…介護福祉士、看護師、歯科技工士、保育士、柔道整復師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、建築士、美容師、調理師、栄養士、その他様々の専門的な資格を取得するための講座が多数設けられています。
指定講座の一覧は、厚生労働省のホームページで公表されていますので、ぜひチェックしてみてください。今まで気になっていた資格や、勉強したいと思っていた講座と出合えるかもしれません。
対象となる講座の一覧を覗いてみると、早稲田大学大学院のMBAプログラム等も含まれており、専門性を高めてさらなるキャリアアップを図りたい人にとって、有益な選択肢の一つとなるのではないでしょうか。
会社勤めをしながら通信や夜間にという方も、退職後に資格取得を目指して勉強に励みたいという方も、いずれも一定要件を満たしている方であれば利用できる制度です。
この「専門実践教育訓練給付金」では、訓練の受講修了から目標としている資格取得などをし、修了日翌日から1年以内に正社員など雇用保険の一般被保険者として雇用された場合には、教育訓練経費の60%にあたる額(すでに支給された40%の給付金との差額)が追加して給付されます。
さらに、「専門実践教育訓練給付金」の受給資格を持つ方のうち、受講開始時に45歳未満であることや専門実践教育訓練を修了する見込みがあることなど、一定の要件を満たす方は、訓練期間中に「教育訓練支援給付金」を受けることができます。この教育訓練支援給付金の日額は、原則として雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の日額の50%に相当します。
訓練期間は、講座内容にもよりますが、おおむね12カ月から36カ月と長期間におよぶものが多いので、これは大変なメリットと言えるでしょう。
社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、【働く女性のためのグレース・プロジェクト】でサロンを主宰。著書に「知らないともらえないお金の話」(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。
[nikkei WOMAN Online 2014年9月23日付記事を基に再構成]
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