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会社の規則に反して副業したらどうなる?懲戒解雇例も

2015/2/9

日経ウーマンオンライン

こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。先日、ある女性から、「恋人の不審な行動に悩んでいる」と相談を受けました。2年近くつきあっている恋人が、全然会ってくれないというのです。不審な行動には理由がありました。

■意外な事実が明らかに

絵美子さんの話によると、2年近くつきあっている恋人の隆二さんが、最近全然会ってくれない、というのです。隆二さんの職場はもともと残業が少なく、平日の夜も毎週のようにデートをしていたそうです。

ところが、今では連絡も取れないばかりか、仕事帰りにアパートに立ち寄ってみても、出かけているようで電気も真っ暗とのこと。「何かあったのではないか?」と心配でたまらなくなった絵美子さん。ようやく隆二さんを捕まえて、詰め寄ってみると、今までの不審な行動が明らかになりました。

実は、会社に内緒で、終業後にアルバイトをしていた、というのです。ほとんど定時で帰れるのをよいことに、自宅近くのコンビニエンスストアで、深夜近くまで働いていたそうです。

絵美子さんにも内緒にしていたのは、誕生日にプレゼントをして驚かせたかったからとのこと。そうとも知らずにヤキモキしていた絵美子さんは、急に力が抜けてしまいました。

しかし、問題はその先にありました。制服を着てバイトをしている姿を、偶然その店に訪れた職場の人に見られてしまい、副業をしていることが会社に発覚してしまったのです。

■兼業禁止のルール

隆二さんは、「会社にばれなければ大丈夫」と、高をくくっていました。勤務時間外に何をするかは、本人の自由だと考えていたからです。

一方、絵美子さんは「早くアルバイトなんて辞めた方がいい。会社に知られたら大変だから…」と、何度も説得をしていました。いくら仕事が終わった後の時間とはいえ、副業していることが明らかになったら、問題になるのではないかと恐れていたのです。

隆二さんの身体もダブルワークで相当疲れているに違いありません。絵美子さんが心配するのも当然と言えるでしょう。

多くの会社では、就業規則の中で、兼業(副業)を禁止する規定が設けられています。一般的には、会社の許可がなければ兼業は認めない、という内容で、絶対的に禁止とは定められていません。というのは、憲法において職業選択の自由が認められていますので、事情を問わず副業を一切禁止するのは難しいからです。

会社の許可があれば副業は可能、とは言っても、隆二さんのようなケースで、正直に申告して認められるかといえば甚だ疑問です。

仕事が終わった後、ほぼ毎日アルバイトをするとなると、肉体的な疲れから本業に支障をきたす可能性が生じます。このように、本業における仕事の能率が副業によって低下することが考えられるケースでは、会社側が兼業を禁止する合理性があります。

それ以外にも、副業をすることで、対外的に会社の信用を低下させたり、あるいは競合会社で働いたりすることなどは認められません。会社と労働契約を結んでいる以上は、誠実に労務提供を行ない、秘密保持の義務が課せられているからです。

■懲戒処分のケースも…

兼業禁止規定自体は、事情の如何を問わず絶対的に兼業を禁止するようなものでなければ、その合理性が認められ、裁判例でも有効性は認められています。

こうしたルールに違反した場合、懲戒処分となることも考えられるので、注意が必要です。懲戒処分とは、企業秩序の違反行為に対して課される制裁罰であり、軽いものでは口頭で注意を受ける戒告(かいこく)や始末書の提出が求められる譴責(けんせき)処分があります。重い処分となると、諭旨解雇や懲戒解雇があります。

裁判例の中にも、一時的なアルバイトではなく、相当期間継続する意図で開始された二重就労で、しかも会社を継続して欠勤していたケースについて、懲戒解雇を認めたものがあります。一方で、病気休職中に内職をしていたケースで、二重就労にはあたらずに懲戒解雇はできないとした裁判例もあります。

実際に懲戒処分はケースバイケースであり、兼業にあたるような事実があったとしても、会社の秩序を乱すこともなく、労務提供に支障がなければ、これを理由に即、重い懲戒処分は難しいでしょう。

隆二さんは、会社に兼業している事実が発覚したものの、就労期間も短く遅刻や欠勤もなくかろうじて仕事をしていたので、今回は口頭注意のみで済みました。

しかし、アルバイトがこれ以上長期にわたっていたら、遅刻をするようになっていたかもしれませんし、作業効率も大幅に低下していたことでしょう。会社に知られなければよい、という問題ではありません。その先の長いキャリアを考えていくことも大切です。

それぞれ事情があるにせよ、軽い気持ちで副業を…というのは、お勧めできません。そのリスクを知り、社内ルールもきちんと確認しておきましょう。

佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、【働く女性のためのグレース・プロジェクト】でサロンを主宰。著書に「知らないともらえないお金の話」(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。

[nikkei WOMAN Online 2014年9月30日付記事を基に再構成]

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