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女性は40代で予防を「糖尿病」にならない習慣術 血液にまつわる病気対策(3)

2015/2/4

日経ヘルス

 血管をしなやかに保ち、脂質代謝を整えるなどして病気から女性の体を守ってくれていた女性ホルモン。それが激減する更年期以降は、血管・血管に関連する病気が急増する。ホルモンが乱高下する更年期からは血圧も上がりやすくなるし、脂質代謝にかかわるエストロゲンの激減で、LDL値がはね上がる。でも、早めにコントロールすれば心配ない。ここでは、高血圧・脂質異常症・糖尿病の3つをそれぞれ取り上げて、リスクチェックから対処法まで紹介する。3回目は糖尿病を取り上げる。

■閉経を境に急増 「糖尿病」

 糖尿病は、血液のなかでエネルギーを運んでいるブドウ糖の量を調節しているホルモン、インスリンの働きが悪くなり、血糖値が高くなる病気だ。

 糖は必要不可欠な栄養素だが、多すぎると体内のたんぱく質と結びついて糖化最終生成物(AGEs)ができ、毛細血管などの体のさまざまな組織の機能を失わせる。最近は、認知症やがんの発症リスクを高めることも分かってきた。

1つでも当てはまると、要注意。特に1つ目は重要
加齢とともに血糖値が上がりやすくなり、糖尿病を発症する人が増えるのは男女同じ。しかし、女性の場合は40、50代に急増する傾向がある。(データ:厚生労働省「平成24年 国民健康・栄養調査」)

 発症には男女差がある。男性では40代で患者数が増えるが、女性は閉経期を迎えると急増し、しかも合併症の原因となる動脈硬化の進行が男性より早い。

 三咲内科クリニック(千葉県船橋市)の栗林伸一院長は「閉経前の女性では、女性ホルモンの作用によって生活習慣病の原因となる内臓脂肪がたまりにくい。内臓脂肪が適量だと、脂肪細胞からアディポネクチンやレプチンなど、インスリンの働きを改善したり、中性脂肪を抑えたりする物質がしっかり放出され、糖尿病や動脈硬化などになりにくい」と話す。

閉経期に女性ホルモンが減少すると、脂肪の代謝に変化が起こる。内臓脂肪が増加し、その影響でインスリンの働きが低下。膵臓は大量にインスリンを分泌して機能低下分を補おうとする。生活習慣を改善しないと、膵臓の機能が次第に低下し、インスリンが十分出せなくなる。最初は食後の血糖が、そのうち空腹時血糖も上がる

■セルフケアと予防 血糖値を上げない食事を検査で体質確認を

 閉経期を迎えると糖尿病リスクが急増する女性。閉経前からしておけることはなにか。朝日生命成人病研究所(東京都中央区)糖尿病代謝科治験部長の大西由希子さんは、「ひとつは内臓脂肪を増やさないような生活習慣を身につけておくこと。内臓脂肪からは体のコントロールにかかわるさまざまな物質が分泌されるが、肥満により、このバランスが崩れると、インスリンの効きが低下し、糖尿病が発症しやすくなる」と話す。

 例えば、食べてすぐ血糖値が急上昇するような食事は、インスリンの働きを低下させやすい。食事の総カロリーを抑えると同時に、食後の血糖値が上昇しにくい食生活も大切だ。

 ただ、体重にさえ気をつけておけば必ず糖尿病を予防できるというわけではない。大西さんは「最近、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の力が遺伝的に弱い体質の人が糖尿病になりやすく、これが糖尿病発症の重要な要素だということが知られてきた」と話す。そうした体質の人は、全く太っていなくても、糖尿病になることが少なくない。

 体質を見極めるには、健康診断を受けることが重要だ。ただ、一般的な健診で行われている空腹時血糖を調べる検査では、糖尿病の早期発見には不十分であることも分かってきた。家族に糖尿病患者がいるなどリスクが高い場合には、一度「75g経口ブドウ糖負荷試験」(ブドウ糖液を飲んだ後の血糖値も測定する)という検査を受けるといい。

 治療は食事と運動療法が基本。最近では、糖尿病の新薬も次々と登場し、血糖値のコントロールをサポートしてくれる。

糖尿病にはI型とII型がある
 糖尿病には2つのタイプがあり、95%以上は2型糖尿病。これは、もともとインスリンは出るのに、遺伝的素因や乱れた生活習慣による肥満などが原因でインスリンの働きが悪くなり、血糖値がコントロールできなくなって発症する。これに対し、インスリンを作る膵臓のβ細胞が自己免疫などにより破壊され、インスリンが完全に分泌されなくなるのが1型糖尿病。その多くは20歳未満の思春期に発症するといわれるが、成人以降に発症する場合もある。

~糖尿病を予防する食事のポイント~

1.野菜から先に食べる

 野菜を先に食べると、後で食べる主食などの糖質の吸収がゆるやかに。また、野菜をゆっくりかんで食べると脳が刺激を受けて満腹感が高まり、食べすぎも防げる。

2.精白した穀類や食品を減らす

 白米や精白した小麦粉で作ったパン、麺類、さらに白砂糖などは、食後の血糖値を急上昇させやすい。玄米や雑穀、全粒粉やライ麦を使ったパンなどがお薦め。

3.食物繊維を多くとる

 野菜、海藻、きのこ類などに豊富に含まれる食物繊維は、腹持ちがよいうえ、小腸での糖質の消化吸収をゆっくりにし、食後の血糖値上昇をゆるやかに。

4.食事は3回に分けて適量を

 一度にまとめて大量に食べない。また、ゆっくり食べることでインスリンを分泌する膵臓の負担を軽減することにつながる。

5.空腹時間帯を作る、夜8時以降食べない

 1日の中で5~8時間の空腹時間を作ることで、膵臓を休め、インスリンの効きや分泌力を高めることが分かっている。同時に肝臓からの糖の放出も抑制。寝る前の飲食も、インスリンが脂肪をため込む方向に働くので、控えて。

6.動く量に合わせて食べる

 1日の行動をよく考え、次に何を行うかに合わせて食事量を決める。水泳などの運動をしっかり行う場合には、ある程度多めに食べて大丈夫。

7.脂質をとりすぎない

 戦後の日本の食生活の変化を見ると、食事による脂質のとりすぎが生活習慣病の増加と関係が深いことは明らか。

この人たちに聞きました

栗林伸一さん
 三咲内科クリニック院長。千葉大学医学部卒業後、千葉大学第二内科などを経て、93年にクリニック開設。糖尿病臨床および教育指導を行う。日本糖尿病学会専門医、指導医。地域医療に力を入れる。
大西由希子さん
 朝日生命成人病研究所治験部長。東京大学医学部医学科・大学院博士課程修了。06年より現職。糖尿病の臨床・研究・治験に従事。日本糖尿病学会専門医。日本内科学会専門医。編著『糖尿病NICE BOOK』(SCICUS)など。

(ライター 佐田節子、渡邉真由美、荒川直樹 構成 荒川直樹、日経ヘルス編集部)

[日経ヘルス2015年1月号の記事を基に再構成]

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