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50代から一気に増える動脈硬化のリスク 血液にまつわる病気対策(2)

2015/1/28

日経ヘルス

血管をしなやかに保ち、脂質代謝を整えるなどして病気から女性の体を守ってくれていた女性ホルモン。それが激減する更年期以降は、血管・血管に関連する病気が急増する。ホルモンが乱高下する更年期からは血圧も上がりやすくなるし、脂質代謝にかかわるエストロゲンの激減で、LDL値がはね上がる。でも、早めにコントロールすれば心配ない。ここでは、高血圧・脂質異常症・糖尿病の3つをそれぞれ取り上げて、リスクチェックから対処法まで紹介する。2回目は脂質異常症を取り上げる。

■エストロゲン減少で急増 「脂質異常症」

「最近、急にコレステロール値が上がった」。健診結果を見て慌てている人もいるのでは?

コレステロールは、細胞膜やホルモンの原料になるなど、体に不可欠な成分だが、肝臓から体外に排出されるHDLコレステロール(善玉。以下HDL)と肝臓から体内に運ばれるLDLコレステロール(悪玉。以下LDL)とに分けられる。LDLが過剰になると、血管壁に蓄積されて動脈硬化の要因になる。

女性ホルモンのエストロゲンはLDL値を低下させるため、閉経前の女性は一般に脂質異常症とは縁遠いのだが、閉経を境に激減し、LDL値が上昇してしまう。

もう一つ、エストロゲンが激減すると、中性脂肪の増加=内臓脂肪の増加=メタボのリスクも上がる。「内臓脂肪が増えると、LDLは“スモールデンスLDL”(別名『超悪玉LDL』)という小さくて密度が高い粒子になりやすい。小さいため血管壁の細胞に入り込んでより蓄積しやすく、動脈硬化を進めてしまう」と北光記念クリニック所長の佐久間一郎さん。

該当する項目が多いほど、動脈硬化のリスクは高くなるが、喫煙は単独でも要注意。「LDL値が低くてほかに該当項目がなくても、喫煙だけで動脈硬化になる人は多い」(佐久間さん)
「脂質異常症治療ガイドライン」で、診断基準となるLDL値140mg/dl以上の割合は、女性は40代で14.5%に対し、50代で35%と急増。60代では41.3%とさらに増える(データ:厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査報告」より作成)

脂質異常症は、LDL値や中性脂肪値が高い場合、またHDL値が低い場合、おのおのの数値を総合的に考慮して診断される。前述の通り、閉経後はLDL値が高値になりやすいため脂質異常症と診断される人も増えるが、「女性は男性とは違い、LDL値が高いだけなら、動脈硬化の心配は少ない」と佐久間さん。「まず頸動脈エコー検査で現在の動脈硬化の状態を確認すること。そして、脂質値以外のリスク要因も考慮したうえで、薬をのむべきか決めます」

LDL値は肝臓から体の隅々に運ばれて過剰分が蓄積し、動脈硬化のもとになる。内臓脂肪が増えると、超悪玉と呼ばれる小型化したLDLが増加。小さいので容易に血管壁の細胞に入りこみ、蓄積し、より動脈硬化を進める。脳梗塞や心筋梗塞のリスクもより高まる

■検査と治療 まずは「頸動脈エコー」で動脈硬化の状態を確認

頸動脈エコー検査は、内科や循環器科のほか、人間ドックでも受けられる。検査費は1650円(3割負担の場合)。「体の中でも太く、脳や心臓に近い頸動脈の血管壁の厚さは、脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる疾患につながる動脈の状態を映す指標と考えられています。この動脈壁の厚さや、プラーク(コレステロールが原因で血管壁にできるこぶ)の有無を調べ、動脈硬化のリスクの程度を判断します」(佐久間さん)。

頸動脈の血管壁の厚さが1.1ミリ以上なら、動脈硬化が進んでいると判断し、薬物治療も検討される。一方、1.1ミリ未満であれば、仮にLDL値が高くても、「すぐに服薬が必要」ということにはならない。

ただ、「動脈硬化を進めるリスク要因には、脂質値のほか、家族歴、高血圧、糖尿病、喫煙などがあります。特に喫煙は、女性では受動喫煙でも動脈硬化が進むことが分かっています。エコー検査で得られた動脈壁の状態に、これらの要因を加味して治療方針を決めます」(佐久間さん)。

治療の柱は生活習慣の改善(食生活と運動)と薬物治療。軽症であればまず生活改善を試み、経過が良くなければ薬物治療を加えるのが基本。薬物治療を行う場合も、生活改善は絶対外せない。

薬物治療は、LDL値が高い場合、体内でのコレステロールの合成を抑え、値を下げる薬(スタチン)が第一選択だが、ほかにも、食品からとったコレステロールの吸収を抑える薬などがある。

LDL値が高くても、動脈硬化が進んでいなければ薬物治療はすぐ開始しなくてよい。それを判断するのが頸動脈エコー検査(左)。1.1mmを基準に動脈壁に肥厚やプラークがなければ、まずは生活習慣の改善でLDL値のコントロールを。ただしチェックリストに該当する項目があれば、その数によって、エコーに異常がなくても薬物治療が検討される場合もある(画像提供:佐久間氏)

■セルフケアと予防 青魚、食物繊維を。運動は30分×週3日

LDL値を下げるための食生活改善のポイントは「コレステロールではなく、『動脈硬化を進める油』を控えることが大事」と佐久間さん。その油とは飽和脂肪酸とトランス脂肪酸。乳脂には飽和脂肪酸が多く含まれる。そして、クッキーやケーキなどの洋菓子類には、トランス脂肪酸の含有量が多いショートニングやマーガリンが使われているので注意を。

一方、「青魚やシソ油、エゴマ油に多く含まれるn-3系と呼ばれる油は動脈硬化を進みにくくします」(佐久間さん)。また、海藻類や緑黄色野菜等に多く含まれる食物繊維は、コレステロールを体外に排出してくれる。

運動習慣も大事。「有酸素運動には、メタボや動脈硬化性疾患を予防する効果が。安静時の脈拍を測り、それに30を足した脈拍以上でのウオーキングやジョギングがお薦め」と佐久間さん。細切れでもいいので、合計で1日30分、週3回が目安だ。

~脂質異常症のリスクを減らす生活改善ポイント~

悪い油を避ける
避けたい油は、1.飽和脂肪酸(牛肉、豚肉、鶏皮) 2.乳脂肪(ヨーグルト、バター、チーズなど) 3.トランス脂肪酸(ケーキやクッキーなどに含まれるショートニング、マーガリン)
運動する
安静時心拍数+30以上の強さのウオーキングなどがお薦め。細切れでもいいので、合計1日30分を週3日程度
禁煙する
自分自身の禁煙に加え、受動喫煙も避けること

この人に聞きました

佐久間一郎さん
カレスサッポロ北光記念クリニック所長。北海道大学大学院医学研究科修了後、同大学医学部附属病院循環器内科講師を経て、2005年より現職。2011年には「性差に基づく脂質異常症の診断と治療」ガイドライン作成委員を務める。

(ライター 佐田節子、渡邉真由美、荒川直樹 構成 荒川直樹、日経ヘルス編集部)

[日経ヘルス2015年1月号の記事を基に再構成]

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