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低血圧だったのに…更年期でリスク急増「高血圧」 血液にまつわる病気対策(1)

2015/1/21

日経ヘルス

血管をしなやかに保ち、脂質代謝を整えるなどして病気から女性の体を守ってくれていた女性ホルモン。それが激減する更年期以降は、血管・血管に関連する病気が急増する。ホルモンが乱高下する更年期からは血圧も上がりやすくなるし、脂質代謝にかかわるエストロゲンの激減で、LDL値がはね上がる。でも、早めにコントロールすれば心配ない。ここでは、高血圧・脂質異常症・糖尿病の3つをそれぞれ取り上げて、リスクチェックから対処法まで紹介する。1回目は高血圧を取り上げる。

■ホルモンの変動が影響 「高血圧」

以前は低血圧だったのに最近、高くなってきた…。女性は40、50代になると、こんな人が増えてくる。実は、更年期は血圧が不安定になりやすい時期。予備軍も含めると、50代の2人に1人が高血圧だ(図1)。

図1 高血圧(正常高値も含む)の年代別頻度。血圧は加齢とともに上がる。女性は男性より遅く、40代から高血圧になる人が急増し、50代ではほぼ半数、60代で7割近くに。 (データ:厚生労働省「平成22年国民健康・栄養調査報告」)

「エストロゲンは血管を拡張させるので、女性は男性に比べ、若いころは血圧が低い。しかし40代に入ってエストロゲンが減りだすと、血管の柔軟性が低下し、血圧も次第に上がっていきます」と静風荘病院女性外来の天野恵子さん。特にエストロゲンが激減する更年期には、血圧が“乱高下”状態になることも珍しくない。

更年期の前からじわじわ高くなる人と更年期を機に急に高くなる人がいて、後者は、いわば「更年期高血圧」という状態。ストレスなどちょっとしたことで血圧がぐんと上がったり、また元に戻ったりを繰り返す。

最新の研究では、ホットフラッシュとの関係も明らかに。自治医科大学循環器内科部門教授の苅尾七臣教授は、「ホットフラッシュのある人はそうでない人より血圧が高い傾向にあり、特に喫煙者で顕著でした。実際の診療でも、ホットフラッシュに悩む人は血圧も乱高下していることが多い」と話す。

血圧はよほど高くならないと頭痛などの症状は表れず、基本的に無症状。測って初めて高いことに気づく人がほとんど。「体質」や「交感神経の緊張」なども高血圧を招くリスクになるので、ご用心(図2図3)。

図2 生活習慣や血管の老化、それにホルモンの減少が加わって、女性は更年期に血圧が上下しやすい「更年期高血圧」の状態に。放置すると本格的な高血圧に
図3 遺伝的な「体質」、喫煙や運動不足が招く「血管の老化」、睡眠不足やストレスによる「交感神経の緊張」、「食塩のとりすぎ」、更年期の「女性ホルモンの減少」は女性の血圧を上げる代表的なリスク。該当数が多いほど要注意だ。

■セルフケア&治療「こまめに計測。深呼吸やウオーキングも有効」

上がったり下がったりの更年期高血圧も、更年期が終われば自然に落ち着く。問題はその後、本格的な高血圧へと移行するケース。「更年期のうちに血圧に良い生活を始めれば、その後の血圧上昇をゆるやかにすることが可能」と苅尾教授。

予防の柱は、運動、減塩、睡眠、ストレス対処の4つ。中でも、運動して血流が速くなると、血管内皮細胞が一酸化窒素(NO)を作り出し、血管が拡張。その結果、血液がスムーズに流れるようになって、血圧が下がる。心拍(脈拍)数が多少増え、やや息が上がるくらいの運動強度だと、NOは産生されやすいという。

血圧をこまめに測り、どんなときに高くなるのかを知って生活を調整することも大事だ。

~高血圧リスクを減らす生活改善ポイント~

【減塩】 食事のコツは「食塩減らしてカリウムたっぷり」
塩分が多いと腎臓がナトリウムを排出しきれず、血液量が増えて血圧が高くなる。減塩の工夫を。ナトリウムを排出するカリウムも摂取して。
【睡眠】 睡眠は6時間以上。寝不足は“食塩感受性”上げる
睡眠不足になると交感神経が興奮して血管が縮み、血圧を上げるストレスホルモンの分泌も増える。6時間以上の睡眠を心がけて。
【運動】 血管若返り成分NOを出す緩急ウオークを
脈拍数が1分間に110回くらいにまで上がる強度で早歩きを。10分続けたら、次は普通ペースで5分歩く。これを毎日30分以上。
【ストレス対処】 「緊張している」と感じたらすぐ腹式呼吸を
ストレスは交感神経を緊張させ、血圧が上がる。そんなときは腹式呼吸を。お腹をへこませ口から長く息を吐く。繰り返すと血圧が下がる。

生活改善しても血圧が下がらない、最初から血圧が非常に高いといった場合は降圧薬の出番(図4)。ただし、更年期は薬選びが特に重要。「血圧が乱高下しているときに降圧薬をのむと、高いときはよくても、下がったときが大変。血圧が下がりすぎて、動けなくなってしまう人も少なくない」と天野さん。

こんなときは、大本の更年期症状を治療するのが先決という。「血圧がまだそれほど高くないなら、ホルモン補充療法(HRT)でよくなることもあります」(天野さん)。

図4 降圧薬の開始は、血圧の高さに危険因子を加味して決める。血圧の値は低リスクでも、糖尿病や慢性腎臓病などを合併していれば高リスクと見なされることも。薬を服用しても生活改善はずっと続けて

この人たちに聞きました

天野恵子さん
静風荘病院女性外来。東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。千葉県立東金病院副院長、千葉県衛生研究所所長などを経て現職。性差医療の第一人者。自らも更年期症状に悩まされた経験を持つ。
苅尾七臣(かりおかずおみ)さん
自治医科大学循環器内科部門教授。自治医科大学卒業。専門は高血圧、動脈硬化など。コーネル大学医学部循環器センターなどを経て現職。2014年からロンドン大学客員教授。更年期と高血圧との関係も研究。

(ライター 佐田節子、渡邉真由美、荒川直樹 構成 荒川直樹、日経ヘルス編集部)

[日経ヘルス2015年1月号の記事を基に再構成]

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