お金で泣かない老後 「夫婦で9000万円」どう工面最強の対策は健康で長く働くこと

とうしろう 我が家の場合は利子が3つ年下だから、もう少し増えるわけか。90歳や100歳まで生きると考えるなら、もっとお金が必要になるだろう?

たいきち その通りです。しかも、ゆとりあるセカンドライフを送るには、月に約35万円が必要とのデータもあります。夫婦で旅行やレジャーを楽しみながら余裕のある老後を送りたいなら、さらにお金が必要なわけです。

りこ でも老後は年金があるし、丸々この金額を用意する必要はないのよね。

たいきち 公的年金の受取額は夫が会社員、妻が専業主婦という厚生労働省のモデル世帯でみれば、夫婦で現在月約23万円です。夫が65歳からもらい始め、夫の死後は妻が遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)をもらうと、夫婦の年金総額は約6000万円です。老齢基礎年金だけの自営業の人などはこれより少なくなります。

りこ すると、差し引きで3000万円ほど足りないというわけね。

とうしろう でも、これからおやじの遺産が入るかもしれないし、何より株でドカンともうければ……。

りこ あなたは黙ってて! 不足分は預金や退職金を充てたり、60歳以降も働き続けて収入を得たり、というのが現実的な手段のようね。

たいきち 老後の生活資金の収入源を聞いたところ、60歳以上では公的年金を挙げる人が圧倒的に多く、次いで企業年金や個人年金などだったという調査もあります。60代では、就業による収入、金融資産の取り崩しと続きます。

にいさ もしパパが要介護になったら、さらにお金がかかるんじゃないの?

たいきち 介護が必要になったり、病気になったりすれば別途お金がかかります。ちなみに生命保険文化センターの調査では介護の自己負担額は、用具の購入など一時的なもので平均91万円、月々の費用で7.7万円となっています。期間は平均4年9カ月にも上るので、経済的な負担は大きいです。万が一に備えて退職金などは蓄えておきたいですね。家の改修が必要になったり、車を買い替えたりすれば支出はそれだけ増えます。

りこ 健康でいて、長く働くことが、ゆとりある老後のカギといえそうね。

たいきち まずは生活費をいくら使っているのか、チェックするところから始めたらどうでしょう。そして徐々に生活を見直していく。早くから取り組むと効果が大きいですよ。

りこ ということで、あなた! 変な夢が現実にならないように、お小遣いの減額を覚悟してね。健康で長く働くために、お酒の量も減らしてもらいますから。

とうしろう うっ。さては、おみくじの凶とはこれのことだったか……。

■「スリムな定年後支出、現役時からの習慣が肝心」
社会保険労務士 森本幸人さん

老後の心配事で目立つのはお金、健康、生きがいの3つです。中でも定年前の人にとって最大の関心はお金です。以前より長生きになって、必要な額が増えているからです。対策は早めが肝心。支出については住宅ローンは繰り上げ返済などで、生命保険も子どもが大きくなっていれば見直して支払いを減らします。現役時代から支出を減らせば貯金を増やせ、その習慣が身につけば定年後の支出も抑えられます。
収入の柱は年金ですが、受取額は今後徐々に減る見通しです。収入を増やすには就業継続が選択肢になります。可能なら厚生年金に加入して働けば、年金を増やしたり、健康保険の各種給付を受けたりすることができ、メリットは大きいです。もちろん、働き続けるには健康が大事。医療費などの抑制にもつながるので健康に気をつけるのも重要です。

[日本経済新聞朝刊2015年1月10日付]

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