月1000円以下の格安SIM 「制限」知り賢く選ぶ
ローコスト・スマホ快適生活への道(上)
格安SIMは、プロバイダーや家電量販店などが販売しており、サービス内容は多岐にわたる。予備知識なしで店頭に行っても、どれにすればいいのか迷う人が多いはず。そこで、まずは自分に合った格安SIMを選ぶために役立つ基礎知識を、4つのステップに分けて紹介する(図1)。
ステップ1では、格安SIMのパッケージの種類を理解しよう(図2)。月額コストを抑えたいなら、データ通信だけを利用できる「データ専用」を選ぶ。これが最も安価だ。タブレットやモバイルルーターで使う場合も、データ専用が選択肢となる。LINEの利用登録をしたいなら、「SMS付き」を選ぶと認証が簡単だ。
「音声通話付き」はスマホ用で、MNP(モバイルナンバーポータビリティー)を利用して今までの090/080/070で始まる電話番号を引き継げる。データ専用の「プリペイド」は、チャージした分だけ通信できる使い切りタイプだ。
データ専用、SMS付き、音声通話付きの中では、音声通話付きが最も高機能。データ通信、SMS、090/080/070番号での音声通話を含む"全部入り"だ(図3)。ただし、その分月額コストは、データ専用やSMS付きと比べて若干割高になる。
次はSIMのサイズだ。標準、マイクロ、ナノの3種類があり、端末ごとに挿入できるサイズが決まっている(図4)。iPhoneの場合は、ナノを買えばよい。アンドロイド端末の場合は、マイクロとナノの両方があるので、事前にどちらなのかをチェックして購入時に間違えないようにしよう。
コストをとことんカット
続いてステップ2では、格安SIMの通信プランに注目しよう。各社は、高速通信できる容量や通信速度が異なるさまざまなプランを用意している。余計なコストをとことんまでカットしたいなら、自分の使い方に合った最適なプランを選ぶことが重要だ。
現在出回っている格安SIMの代表的なプランは、「日次」「月次」「速度制限」「無制限」の4つだ(図5)。
日次プランは、「1日最大70メガ」のように高速通信できる容量が1日単位で決まっている(図6)。使いすぎても翌日には制限が解除されるため、初心者でも安心だ。月次プランは、1カ月で2ギガのように月単位になる(図7)。日によってデータの使用量にムラがあるなら、日次プランより月次プランのほうが向いている。
速度制限プランは、最初から低速だが容量を気にせずに使える(図8)。しかも、月額500円を切るサービスもあるなど激安だ。無制限プランは、高速通信できる容量が無制限で、ユーネクストと日本通信が提供している。どれだけ使っても速度が落ちない。
高速通信の容量を使い切ると、自動的に速度が制限されて200kbps前後の低速になる。遅くて困るというなら容量を買い増せる(図9)。多くのサービスで、100メガ~500メガ単位で販売しており、利用者は使いたい分だけ追加できる。追加した容量は当月中に使い切らなくてもよい。余った容量は、自動的に翌月分に繰り越されるので安心だ。
編集部のお勧めプランは、記事末の表にまとめた。SIM選びの際に参考にしてほしい。
速度制限されてもメールやウェブ閲覧は「○」
さて、「速度制限されたスマホやタブレットの使い勝手はどうなる?」と疑問に思う人も多いだろう。ここでは、200kbpsに速度が制限された格安SIMで、よく使うスマホアプリの使い勝手をチェックした。
メールアプリやLINEは、メッセージをやり取りするだけなら速度制限されていても遅さは気にならなかった。コミュニケーション用途中心であれば、速度制限されたまま使い続けてもさほど問題はない(図10)。
ウェブブラウザーは、画像が多いウェブページでは読み込みに時間がかかった程度で、テキスト中心のウェブページならサクサク開いた。
不都合があったのは、データ通信量が多いアプリを使ったときだ。例えば、地図アプリは検索しても目的地の地図がなかなか表示されなかった。航空写真に切り替えると、写真の一部が表示されないままだった。
ユーチューブのネット動画は、低画質でも再生中に止まってしまうことが多く、そのたびに待たされた。高画質では、再生ボタンを押して1分以上待っても再生が始まらなかった。
次回は端末を用意する方法や、格安SIMの購入法について解説する。
(日経PC21 石坂勇三)
(日経PC21 2015年2月号の記事を基に再構成)
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