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赤ちゃんの脳 発達にはスピーカー音より語りかけ

2014/12/28

ナショナルジオグラフィック日本版

赤ちゃんの脳は驚異的な学習能力をもち、生後1年間で劇的な成長を遂げることがわかっている。その発達に必要なのは何か、最新研究からその答えを探る。

「言語の習得は一定の順序に従って進むと、長年考えられてきました。まず音を聞きとれるようになり、次に単語の意味を理解し、さらに複数の単語の連なりがわかるといったように」と語るのは、フランス・パリ第5大学の認知神経科学者ジュディット・ゲルバイン。「しかし最近の実験で、最初からほぼすべての機能が同時進行で発達することがわかってきました。赤ちゃんは生まれた直後から文法の規則を習得し始めるのです」

これを裏づける結果が、ドイツのマックス・プランク認知脳科学研究所でも得られている。同研究所の神経心理学者アンゲラ・フリーデリチらは、生後4カ月のドイツ人の赤ちゃんに、「兄は歌えます」と「姉は歌っています」を意味するイタリア語の文を、文法的に間違った文を織り交ぜながら聞かせる実験を行った。

赤ちゃんの頭に小さな電極をつけてイタリア語の文を聞かせたときの脳の活動を調べたところ、何回か繰り返すうちに、文法的に間違った文には明らかに違った反応を示すようになった。「文の意味はわからなくても、文法的に正しいかどうかは判別できるようでした。この段階では、構文規則ではなく、音の並びの規則性で判断するのでしょう」とフリーデリチは語る。

これまでの研究で、2歳半ぐらいの子どもは人形劇の人形が文法的に間違ったせりふを言うと誤りを訂正できることがわかっている。3歳までには、大半の子どもがかなりの数の文法の規則を習得しているようだ。この頃を境に語彙が急速に増え始める。

子どもが言語を習得するまでの脳の発達過程はまだ完全には解明されていないが、確実に言えることがあると、フリーデリチは語る。「脳という『器』だけでは不十分で、情報のインプットが必要だということです」。

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