【問1】年賀状に書く言葉で、誤りや不適切な表現のないものはどれですか。
1)新年明けましておめでとうございます
2)新春のお慶びを申し上げます
3)A Happy New Year
4)去年は大変お世話になりました
【問2】「鏡餅」の数え方で最も適切なものはどれですか。
1)台 2)基 3)個 4)重ね
【問3】初夢に見ると縁起が良いとされる「一富士二□三茄子」。□に入るのは次のうちどれですか。
1)鷹 2)鷲 3)鳶 4)鴉
【問4】「嫁が君」は、ある動物の別名で、特に正月三が日の忌み言葉として使われます。その動物は次のうちどれですか。かつては長屋などに、最近都心部でも見かけますが、あまり見かけたくはありません。
1)ウサギ 2)サル 3)ネズミ 4)ヘビ
【問5】次の説明文のうち、誤っているものはどれですか。
1)「小寒」は太陽暦の1月6日ごろをいう
2)小寒の日を「寒の入り」という
3)「大寒の入り」は太陽暦の1月20日ごろをいう
4)小寒から節分(立春の前日)までを「寒の内」という
【問6】1月7日には春の七草や餅などを入れた七草がゆを食べます。次のうち春の七草でないものはどれですか。
1)クズ 2)セリ 3)ナズナ 4)ハコベ
【問7】部首が「羊」である漢字はどれですか。ほかに明快な部首があるものを除くといいかもしれません。
1)義 2)善 3)養 4)窯
【問8】「羊」がつく四字熟語を集めました。このうち「本来の仕事をおろそかにすること」を表すものはどれですか。何かに気を取られていたのが原因のようです。
1)岐路亡羊 2)読書亡羊 3)羊頭狗肉 4)亡羊補牢
【問9】「羊羹(ようかん)」に「羊」の字が使われているのはなぜですか。次のうちから選んでください。
1)もともとは羊の乳に砂糖やゼラチンなどを加えゼリー状にした菓子だった
2)もともとは羊のようにふわふわしたマシュマロのような菓子だった
3)もともとは羊飼いが放牧で遠征するときに携帯した保存食だった
4)もともとは羊の肉を野菜などと煮込んだスープだった
【問10】次の文章には間違いが3カ所あります。どこが間違っているか答えてください。(最近の社会情勢などを参考にして、出題用に創作した文章です)
ドタバタと1年が終わり、新年を迎えた。昨年は我が社も例年より早く12月26日の金曜日が仕事始めだったこともあり、いつも以上に慌ただしい年の瀬だった。忘年会が立て続けにあり、また終わらせておかなければいけない仕事も多く、睡眠時間を削り、栄養ドリンクを飲みながら乗り切る羽目になった。昨年を振り返ってみると、個人的にはあまりいい年ではなかったと思う。日本全体でみると、2014年の世相をあらわす1字が「税」ということだった。消費税の税率を8%に引き上げるのを前にした駆け込み需要で始まり、11月には10%への引き上げを2017年4月まで延期することが決まり、そして消費税も争点の一つとなった総選挙と、確かに「税」に暮れた1年だった。
元旦は例年通り家族と近くの神社に初詣に出かけた。すごい人出で白山の人だかりができていた。なので、お参りするまでに2時間半も並ぶことになった。お参りして家に戻ったのは、昼過ぎであり、あとはお酒を飲んでいつもどおり、テレビやDVD三昧となった。
2日は何年ぶりかで書き初めをした。おそらく、高校生以来だろう。私は字がへたでミミズがはうような字になったが、家内は筆が立つので見事な字だった。うちの長女は中学で書道クラブに入っていることもあり、妻同様になかなかのうまい字だった。私は2人に自分の字をからかわれてしまう始末であり、これならば、書き初めなんかやらなければよかったと後悔した。いずれにしても今年は、後悔のない、1年にしたい。
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【解答と解説】
【問1】2
1)「新年」と「明けまして」は意味が重複。「明けましておめでとうございます」とする。3)不定冠詞の「A」は不要。「A Happy New Year」は年が明ける前に「よいお年を」の意味で使う。4)「去る」は死を連想させる忌み言葉。「去年」は使わず「昨年」「旧年」とする。
【問2】4
のし餅は「枚」、切り分けたものは「切れ」「個」、丸餅は「個」で数える。鏡餅や重ね餅は、餅を重ねてあるので「重ね」で数える。
【問3】1
江戸時代の辞典「俚言集覧(りげんしゅうらん)」に記載されている。実はこれには「四扇五煙草六座頭」という続きがある。座頭は髪を剃った琵琶法師。「一富士二鷹三茄子」と「四扇五煙草六座頭」は対応しているとの説がある。「富士」と「扇」は末広がりで子孫繁栄や商売繁盛を、「鷹」と「煙草の煙」は上昇するので運気上昇を、「茄子」と「座頭」は「毛がない」ので「怪我がない」にひっかけ家内安全を願うという。
【問4】3
「嫁が君」は新年の季語。語源は諸説ある。「日本国語大辞典第二版」(小学館)には、1、夜目が君の意か。2、ヨメ(夜群)の義。3、ヨモノの転。ヨモノは忌む物の意。4、正月にねずみのね(寝)の音を嫌った。5、新年にねずみの害を減ずるためにねずみと呼ばず天井のヨメと呼び饗したところから、と記載されている。
【問5】3
「大寒」は「小寒」と同じく二十四節気の一つで、一日だけを指すので「大寒の入り」という言い方はしない。なお、2015年の小寒は1月6日、大寒は1月20日、節分は2月3日、立春は2月4日。
【問6】1
クズは秋の七草。春の七草はほかに、ゴギョウ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)。
【問7】1
2)「善」の部首は「口(くち)」、3)「養」は「食(しょく)」、4)「窯」は「穴(あな)」。
【問8】2
「読書亡羊」は、羊の番をさぼって読書に夢中になり、羊が逃げたのに気づかなかったこと。転じて、他のことに気をとられて本来の仕事をおろそかにすること。1)「岐路亡羊」は、学問の道が多すぎて真理を得がたいこと。転じて、選択肢が多すぎて思い悩むこと。3)「羊頭狗肉」は、看板に羊の頭を掲げ、実際には狗肉(犬の肉)を売ることから転じて、見かけは立派だが中身が伴わないこと。看板倒れ。4)「亡羊補牢」は、羊が逃げたあとで囲いを修繕する意から、失敗したあとで慌てて改善すること。また、失敗してもすぐに改めれば、過ちを大きくしないですむたとえ。
【問9】4
羊羹は、もともとは中国の料理で、羊の肉を煮た羹(あつもの=野菜、山菜や肉を入れて作った熱い吸い物)の類。冷めると肉のゼラチンによって固まり、自然に煮こごりの状態になる。鎌倉~室町時代に禅僧によって日本に伝えられたが、禅宗では戒律により肉食が禁じられていたため、羊肉の代わりに小豆やくず粉、小麦粉を蒸し固めて食した。これが日本における羊羹の原型といわれる。
【問10】
1)×仕事始め→○仕事納め。2)×白山の人だかり→○黒山の人だかり。3)×筆が立つ→○字がうまい、あるいは達筆。「筆が立つ」は文章がうまいこと。
(編集=日本経済新聞社記事審査部)