東日本でよく獲れるキアンコウ 冬場の鍋の人気者

キアンコウは全長1メートルほどになる(大洗水族館提供)

寒い冬の夜には鍋料理がありがたい。その中でも鮟鱇(あんこう)鍋の人気が高い。鮟鱇鍋の材料には、アンコウとキアンコウの2種の魚が使われるが、両種はよく似ていて、魚市場では区別せずに扱われていることもある。アンコウは全長40センチ程度の小形種で、口の中には白い斑紋がある。これに対し、キアンコウは1メートルほどになり、口の中の斑紋がない。

海底に潜み 大きな口で獲物をパクリ

両種はともに北海道から東シナ海までの水深30~500メートルに分布するとされているが、情報が混乱しているかもしれない。最近の研究では、両種は水温に対する適応性が異なり、アンコウが14~23度の海域に多いのに対して、キアンコウは6~16度の海域に主に生息するという。また、キアンコウに水温と水深が記録できる小型標識をつけて調査した青森県での結果では、水深60~160メートル、水温6~14度の海域にいることが多かったという。

東日本で獲れるのはほとんどがキアンコウで、水族館でも飼育されている。

キアンコウの頭の上には背ビレが変化した釣りざおのような長いとげ(誘引突起)があり、その先に白い皮膚の小片(擬餌状体)がついている。小魚を見つけると、この誘引突起を釣りざおのように前後に振って、白い皮片を見せびらかすようしておびき寄せる。小魚が口先まで近づくと大きな口をがばっと開けて、一瞬のうちに捕らえる。下あごには細かな犬歯状の歯が並んでいて、くわえた餌を逃がさない。

腹部が大きく膨れた産卵前のキアンコウ(大洗水族館提供)

普段は餌が近付くのを待って、砂地の海底に体を半ば埋めてほとんど動かず、2、3分に1回しか呼吸しない。砂に埋もれて生活する習性にあわせて、ふつうの魚のようなエラぶたがなく、スリットのような鰓孔(さいこう)もない。呼吸の時には体全体を持ち上げるようにして口から海水を吸い込み、胸ビレの付け根にある筒状のエラあなから海水を吐き出して、もとの姿勢に戻る。呼吸の動作は魚というよりもタコに似ている。