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不動産リポート

貧弱な賃貸住宅の設備仕様 先進国では日本だけ 不動産コンサルタント・長嶋修

2014/12/24

 マイホーム購入の理由としてしばしば、「賃貸住宅が手狭だから」とか「賃貸住宅が貧弱だから」など、賃貸住宅が相対的に劣悪であることを挙げる人がいる。

 確かに賃貸住宅は狭いし陳腐だ。夫婦2人と子ども1、2人で住む場合、子どもが小さいうちは2DKないしは2LDKで十分だが、子どもが大きくなり、生活をしていくうち徐々に荷物も増えてくると、どうにも収まらなくなってくる。

■新築マンションの豪華さに圧倒され…

 賃貸契約の更新期限がやってくると、その際には家賃数カ月分の更新料の出費がある。また、子どもが元気に部屋の中を駆け回ったり、跳びはねたりすることで、階下の住民に騒音や振動などの迷惑をかけてはいないかどうかも心配だ。

 そこで、4LDKの間取りなど、現在の生活にふさわしい賃貸住宅を探すことに。もちろん以前のコンパクトな賃貸よりも家賃は高い。すると「こんなに多額の家賃を払うのはもったいないから、いっそ買ってしまったほうがいいのではないか」という発想になるわけだ。

 新築マンションのモデルルームなどを訪れると、その豪華さに圧倒される。もちろん豪華なインテリアなどで装飾されている部分はある。しかしそれ以前に、システムキッチンやユニットバス、洗面化粧台など設備の大きさやグレード、玄関や室内建具、サッシのグレード、天井高、共用部のエントランスや玄関ポストも階段も、何から何まで今住んでいる賃貸住宅より上だ。

■分譲よりグレードを下げた仕様

 日本の賃貸住宅は、恐ろしく貧弱だ。そもそもキッチンやユニットバスなどの設備機器に、分譲(持ち家)のそれとはグレードを下げた「賃貸仕様」があるというのは、先進国では日本だけである。

 日本では、税制まで含めた広義の住宅予算は、その過半が「新築持ち家」に向けられている。そして残りを中古住宅(持ち家)と賃貸住宅が分け合う構図だ。わかりやすくいえば、賃貸住宅はあくまで持ち家を持つまでのステップと位置づけられており、持ち家を、とりわけ新築持ち家を買ってもらうことを前提とした制度設計になっているわけだ。

 実は、このように、過度に新築持ち家に傾斜した政策をとっているのも、先進国では日本だけである。

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