なにかと火種? 読者が語る、年賀状を巡る攻防
その一言、余計です
もうすぐ正月。毎年楽しみなのが、普段あまり会わない人からの年賀状だ。最近はメールで済ませる人も多いが、手書きで近況が書かれていたりすると、やはりうれしい。ただ今年の正月に届いた年賀状には冷や汗をかいた。
送り主は高校の同窓会で10年ぶりに再会した女性。えとのイラスト入りのはがきの隅に「この間は、ごちそうさまでした」とのひと言があり、文末にハートマークが付いていた。
同窓会で男性の会費が女性より1000円高かったことを意味しているのだろうか。その後二人で飲みに行ったわけでもないし、やましいことは何もないが、妻に見つからないうちに、そそくさと仕事用のカバンにしまい込む。
女性側は単に挨拶程度のつもりだろう。でもこちらは妻子持ちだ。妻に見つかると「このハートマークの人、だれ?」と聞かれる。正直に話せば「ふーん」という返事で会話は終わるだろう。こういうのが一番こわい。追及するでも怒るでもなく、なぜか機嫌だけが悪くなっていく。
息をついたのもつかの間、居間で遊んでいる2歳の娘の手に別の年賀状が握られているのが見えた。職場の女性上司からで「今年も飲みに行こう!」と書かれている。こんなことなら、年賀状はメールで送ってほしいものだな。
心穏やかならず
毎年受け取る年賀状のうち、家族の写真付きは半数を超える。独身時代は楽しみな半面、憂鬱でもあった。「結婚した」「子どもが生まれた」。慶事の報告を前に「我が身は何の変化もなかった」と思い知らされたからだ。
結婚して子どももいる今なら心穏やかでいられるか、というと実はそうではない。新たな嫉妬の対象が出現したからだ。子どもだけでなく、夫婦も写っている写真だ。
夫が妻の肩を抱いたり、夫婦で手をつないだり。子どもがいても夫婦仲良しですと見せつけられている感じがするのだ。同年代の友人だと「ありえない」と否定しつつ、羨ましさは大きくなる。
子どもの写真に比べ、夫婦の写真を載せるのは勇気がいる。おじさん、おばさんの域に達した姿を見せることになるからだ。妻からすれば、それでも賛成するだんなさんは「どんなに見た目が変わっても、妻は自慢のパートナーです」と宣言しているようで、深い愛情を感じさせる。
先週、年賀状を業者に頼むとき「子どもだけでなく、私たちも入った家族写真を撮って載せてみる?」と夫に聞いてみた。返事は「キミ、いまの姿をみせる勇気があるの?」。ケンカが勃発し、家族写真どころではなくなった。
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