女性リーダー育成、スイスのビジネススクールに学ぶギンカ・トーゲル・IMD教授インタビュー

2014/12/20

企業の経営層を担う女性の不足は世界共通の課題だ。スイスに拠点を置くビジネススクールIMDは女性向けリーダーシッププログラムを主催し、女性幹部の育成で成果を上げている。同校のギンカ・トーゲル教授に女性リーダー育成の課題を聞いた。

ギンカ・トーゲル(Ginka Toegel)IMD教授。心理学を学び、現在は組織行動とリーダーシップを研究する。ドイツのライプツィヒ大と英国ロンドンビジネススクールで博士号取得。ドイツ出身、59歳。

――女性にターゲットを絞ったリーダー研究がなぜ必要なのか。

「IMDは経営幹部の育成を目的としたビジネススクールだ。毎年およそ100カ国から約8千人の経営幹部が短期プログラムなどで学んでいる。開校は1990年。女性向けプログラム『ストラテジーズ・フォー・リーダーシップ』は10年前に始めた。男性と一緒だと女性は自分を素直に出せず学習効果が小さくなる。そして何よりも女性と男性では学ばなくてはいけないことが違う」

「女性は両極端で、自信がなさ過ぎるか逆に過度に持ちすぎる傾向がある。経営戦術やビジョンはちゃんと立てられるのに、部下や周囲を鼓舞するように伝えるスキルは弱い。また人的ネットワークは作れるが、それを仕事でうまく活用できない。これらを集中して教えている」

――手本が少ないなか、女性はどんなリーダーを目指せばよいのか。

「よくある失敗は男性リーダーの立ち居振る舞いをまねすること。リーダーは部下に信頼されないと務まらない。同じ行動・思考をするにも自分で納得して、自分のものとして示さないと部下の信頼は得られない」

「女性がリーダーになるには2つの要素が欠かせない。1つは状況を的確に把握でき、自信にあふれて説得力を持っていること。もう1つが親切で暖かみがあり、面倒見が良いこと。男性は1つ目の条件を満たせばリーダーと見なされるが、女性はそれだけだと『嫌な女性』と評価される。この2つを兼ね備えないと現実には女性はリーダーと見なされない」

――評価軸が異なるとは女性が気の毒に思える。

「昨今のリーダーシップ研究では『変革型リーダーシップ』が有効だと指摘されている。従来型の『こうしなさい』『あれはどうなった』といった指示命令タイプではなく、理想的影響力(カリスマ)、鼓舞的動機づけ、知的刺激、個別配慮の4つを部下に及ぼせるリーダーだ。変革型リーダーシップだと部下のやる気を奮い立たせるので120%の成果を引き出すことも可能だ」

「先に挙げた2つの条件を満たすことは変革型リーダーシップを手に入れることに他ならない。もともと女性は誰かを助けたり、困っている人に共感したりするのが得意だ。変革型リーダーシップの素養は男性より女性に備わっている。いずれ男性が女性リーダーに学ぶ時代が来るだろう」