ムダな自己投資を「いい自己投資」に変えるには
自分にとっての「いい」を上手に見極めよう
お金をかけた分だけ、自分のこれからに役立つ"いい自己投資"は、どうすれば実現するの? 「重要なのは5年後、10年後の働き方や生活を具体的に考え、それに沿った自己投資をすることです」とFPの岩城みずほさんは話す。1年以内に英語を使う部署に異動したい、3年後に転職したいなど、明確な目標を達成するための投資であれば、ムダになりにくい。「もう一つ重要なのは、自分の収入に照らし合わせて、無理のない範囲で予算を決めることです」
自己投資が「いい」か「ムダ」かの判断基準は、個人差が大きいもの。例えば異業種交流会に参加する場合、目標としている転職につながるような人脈が築けるものであれば、いい自己投資。一方で単に楽しくお酒を飲むだけでは、自己投資にはならない。
「まずは自分にとっていい自己投資を判断することから始めましょう」と岩城さん。後のチェックシートを利用して、自己投資力を磨こう。
いい自己投資を実現する3つのポイント
費用も無理なく、自分の人生にとって確実にプラスになる"いい自己投資"。それを実現するためにはまず、以下の3つのポイントを押さえよう。
自己投資にお金を使いすぎて、貯蓄や生活費が不足する──。そんな自己投資は、たとえ目標の達成に役立ったり、効果が明確だったりしても"いい自己投資"とはいえない。「毎月の生活費や貯蓄を確保してから、自己投資用の予算を決めましょう」
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これは×: 「思わず衝動買い…」
急に語学熱が高まって教材を一括購入…。こうした衝動買いは、「効果や目的があやふやなだけでなく、予算オーバーになりやすいもの」。衝動的な自己投資は控えよう。
自己投資をする際には、かかる金額や、必要な時間に対する効果を必ず考えよう。効果が高くても費用がかかりすぎたり、目標の達成までに時間がかかりすぎたりしたら、適切な効果が得られるとはいい難い。「自己投資の前に、効果を考える習慣をつけましょう」
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これは×: 「資格があれば転職できるかも」
漠然とした期待やイメージで自己投資をするのはNG。資格取得を狙う場合は、今の仕事にどう生かせるかなど、より具体的な効果を調べたり、考えたりしよう。
経理のスキルを磨くために簿記の資格を取る、海外勤務を目指して英語をブラッシュアップするなど、「何のための自己投資か」を必ず考えよう。「自己投資の目的を明確にするためには、5年先までの仕事やプライベートを具体的に想像することが大切です」(岩城さん)
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これは×: 「友人がやっているから…」
友人に誘われた、周囲で英語熱が高まっている──といった理由で自己投資を始めると"ムダな自己投資"になりがちに。本当に自分に必要かを考える習慣をつけて。
あなたが今やるべき自己投資発見シート
自分にとって、どんな自己投資がいいのか分からない…。そんな悩みを抱えるあなたは、次のシートにトライ。自分にとっての"いい自己投資""ムダな自己投資"を判断できるようになるはず。
まずは家計を見直し、1カ月当たりの自己投資の予算を決めよう。「月収(手取り)から固定費を含む生活費や貯蓄を引いた金額が、自分が毎月、自由に使えるお金。その範囲内で自己投資の費用を予算化しましょう」
ステップ1で予算額が明らかになったら、今、取り組んでいたり、これからチャレンジしたい自己投資のコストパフォーマンスをチェックしよう。自分にとって本当に効果があるのか、目的を達成するために必要なのかを検討して。
■今日から意識しよう「自己投資力を磨くヒント」
[1]「今日の自己投資」を毎日、記録する
いい自己投資を見極める力は一朝一夕では磨かれないもの。「自己投資だと思って支払ったお金とその内容を毎日記録し、1カ月単位で振り返って、その効果を確認しましょう」
[2] 目的があいまいな自己投資は思い切ってやめる
目的も明確でなく、なんとなく続けている勉強や習い事は、続ける意味があるかどうかを検討しよう。今の自分にとって、よりコスパが高い自己投資があればそちらへシフトしよう。
[3] 将来の目標を毎年、見直す
「環境が変われば、自己投資によって達成したい目標も変わります」。1年に1回はこの先5年程度の目標を見直して、その目標に近づくための自己投資をするように心がけよう。
この人に聞きました
ファイナンシャル・プランナー(FP)。オフィスベネフィット代表。NHK松山放送局を経てフリーアナウンサーとして活動。その後、セミナー講師として働く傍らFP資格を取得。09年に独立。著書に『結局、いくら貯めればいいの?』(同文舘出版)などがある。
(日経WOMAN 島田優子)
[日経WOMAN2014年12月号の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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