脳梗塞…血液サラサラだけでは防げない血液、血管、血流にまつわるQ&A(1)

日経ヘルス

芸能人が脳梗塞で入院というニュース、脚の血管がボコッと盛り上がってきた、くもの巣のように透けて見える…など血管にまつわる病気や悩みはさまざま。奥が深い血液の世界。もっと知りたい、気になるあれこれについて2回に渡って解説しよう。
Q.磯野貴理子さんを襲った脳梗塞…血液サラサラなら防げる?
A.サラサラなだけでは血管の病気は防げません。

脳梗塞や心筋梗塞など重大な血管の病気は、主に血管内に生じる血栓によって動脈が詰まって発症する。血管が詰まらないようにタマネギや納豆などの“血液サラサラ”食材を積極的に食べているという人もいるだろう。だが、池谷医院の池谷敏郎院長によれば、「血管事故を防ぐのに最も大切なのは、血管の壁に動脈硬化のコブができないようにすることと、そのコブが傷つきにくい状態にすること。いくらサラサラ食材を食べても、ひとたび動脈のコブが傷つけば、そこに血栓が生じる。ただし、魚に多く含まれるEPAには、動脈硬化の進行を防ぎ、コブを傷から守って血栓を生じにくくする働きがあることがわかっている」。

Q.脚の血管が盛り上がってみえます。むくみと関係ありますか?
A.下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)かもしれません。セルフケアを心がけて。
図 脚の静脈は、下から上へ血液を送っている。血管内には薄い弁がいくつもあり、開閉を繰り返して血液の逆流を防いでいる。その弁が壊れて逆流した血液がたまり、コブのように盛り上がった状態が下肢静脈瘤。筋肉の中を通る静脈ではなく、主に皮膚に近い浅いところにできるのが特徴だ。弁は上から壊れていくので、ふくらはぎに静脈瘤があれば太ももにもあることになる。ただ、太ももの静脈は硬い膜の間にあって、盛り上がりにくく目立たない (イラスト:三弓素青)

脚の血管がボコッと盛り上がってきた、くもの巣のように透けて見える…。そんな症状に心当たりがあったら、下肢静脈瘤かもしれない。命にかかわる病気ではないが、見た目の問題に加えて、ひどいむくみや痛みを伴うことがある。放置するのは禁物だ。

なぜ、下肢静脈瘤になってしまうのか。血管には、心臓からの血液を送り出す「動脈」と、使い終わった血液を心臓に戻す「静脈」の2種類がある。脚の静脈は重力に逆らって、血液を心臓に送り返している。そのため、逆流を防ぐ「ハ」の字形の弁がいくつもついている()。

ところが、立ちっぱなしだったり、運動不足で筋肉の収縮によるポンプ作用が不十分だと、血液が静脈によどんで、弁にかかる圧力が増す。その状態が長時間続くと、弁が壊れて静脈に血液がたまり、その結果、瘤(こぶ)のように盛り上がってしまう。それが下肢静脈瘤。主なタイプは、「伏在(ふくざい)静脈瘤」「陰部静脈瘤」「網目・クモの巣状静脈瘤」などだ。

お茶の水血管外科クリニックの広川雅之院長によると、「30~40代の女性によく見られるのは、陰部静脈瘤」という。「瘤ができるのは、卵巣や子宮周辺から脚の付け根を通って太もも裏に走る静脈で、目立たない。そのため気づかないことも多いが、月経のたびに太もも裏側の痛みや脚のむくみが強い場合は、陰部静脈瘤の可能性がある」(広川院長)。

悪化させないためにはセルフケアが重要。お薦めはつま先を上げ下げする「足首起こし」や背伸びをしながらの深呼吸。「椅子に座って、かかとを床につけたまま、つま先を持ち上げる。トントンと、リズミカルに10回持ち上げたら、背伸びをして深呼吸を。これを1時間おきに行うだけで静脈の血流が改善する」(広川院長)。

また、弾性ストッキングは脚をほどよく圧迫して、血液の逆流を抑える。むくみがつらい人は試してみて。セルフケアで症状が改善されない場合は、医師に相談を。健康保険で受けられる血管内レーザー治療もある。

(日経ヘルス編集部)

[日経ヘルス2015年1月号の記事を基に再構成]

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