日本の「超富裕層」たちは何に関心があり、どんな金融サービスを利用しているのか…。かつて野村証券で金融資産10億円を超える大手顧客を対象としたプライベートバンク部門で辣腕をふるったZUU社長兼CEO(最高経営責任者)の冨田和成氏が、超富裕層の実態を解説します。
日本の富裕層が増えている事実をご存じでしょうか。下図は日本の富裕層人口を示したグラフです[注1]。2004年から07年までは株価が上がり続け、景気も好調でした。この期間中に富裕層人口が増加するのはご理解いただけると思います。
08年のリーマン・ショックで富裕層人口は急減しますが、09年には再び増加に転じました。株価がある程度回復したから、と考えるのは早計です。なぜならば、09年の株価は07年より圧倒的に安いのです。
その後、11年まで株価が停滞を続ける一方で、富裕層人口は増加しています。従って株価の上昇、為替の円安傾向以外に、何らかの押し上げ要因があるはずです。
相続が富裕層を拡大する
背景には、若くして成り上がるタイプの新世代の富裕層が増加していることも挙げられますが、それだけでは説明できません。実は、最大の要因は「相続」なのです。
[注1]金融資産と不動産の合計が1億円以上の人を富裕層とした