長時間耳かきをして出血 外耳炎の仕組み
カラダのお悩み何でも診療所(13)
耳掃除が好きで、長時間耳かきをして出血することがあります。大丈夫でしょうか(38歳・金融・事務)
耳掃除は気持ちがいいですよね。知らず知らずのうちに触り続けてしまい、耳の中を傷つけてしまう人は少なくありません。耳掃除などによる痛みやかゆみの症状を訴えてクリニックに来る人は、1日約100人のうち、5~6人はいます。
耳の内側の皮膚は薄く、とても傷つきやすいため、こすり過ぎると皮膚が赤くなり炎症を起こします。傷が深いと皮膚の表面がただれて出血したり、化膿して膿(うみ)が出たりすることも。これが外耳炎です。この状態のまま放っておいても自然治癒することはありますが、傷が乾いてかゆみが出ると、また耳をいじってしまい、症状を繰り返す人も多いです。数日たっても痛みやかゆみがおさまらない場合は、耳鼻科で化膿止めや抗生剤の入った軟膏、飲み薬を処方してもらいましょう。
傷が悪化すると、細菌が入っておできができ、徐々に痛みが激しくなり、やがて我慢できなくなるほどの頭痛がすることもあります。また、耳周辺のリンパ腺が腫れて、耳からあごにかけて痛みが発生することもあります。さらに汗をかきやすい夏場には、プラグ式のイヤホンなどで密閉し続けると、湿気でカビが生えるケースもあるのです。
実は本来、耳には自浄作用があるので、耳垢は自然と外に押し出されるようになっています。ですから、耳の奥に垢がたまることはありません。耳掃除を全くしない人もいるんですよ。
耳掃除のときには、細め(赤ちゃん用)の綿棒で耳の穴から1センチ以内のところをやさしく拭う程度にしましょう。頻度は月に1回程度で大丈夫です。
耳掃除をし続けてしまう人の中には、ストレスが原因になっている場合もあります。疲れやイライラを感じたら、よく休むなどして心身をリラックスさせてください。
耳の穴と鼓膜の間の外耳道の皮膚を傷つけ、炎症を起こすのが外耳炎。皮膚の下の汗腺や毛根付近まで傷が深くなると、化膿して分泌物などが出る。また、傷に細菌が感染しておできができると、激しい痛みを伴う「急性限局性外耳道炎」になることも。
この人に聞きました
笠井耳鼻咽喉科クリニック院長。千葉大学大学院医学研究科修了。国保君津中央病院耳鼻咽喉科医長、国立がんセンター頭頚部外科医員、横須賀共済病院耳鼻咽喉科医長などを経て、99年に笠井耳鼻咽喉科クリニック自由が丘診療室を開設。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN2014年7月号の記事を基に再構成]
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