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ホテルオークラ流、達人の窓ふき 心も晴れる磨き方 小野瀬玲・宿泊統括部部長

2014/12/17

大掃除のシーズン。忙しくて時間がない人も、窓だけはホテルのように一点の曇りもない状態に磨いて、新年を迎えたいものだ。ホテルオークラ東京(東京・港)で客室管理を長年担ってきた小野瀬玲・宿泊統括部部長に家庭でも使えるプロの窓磨きの技を聞いた。
小野瀬玲(おのせ・あきら) 東京都出身。1981年、大成観光(現ホテルオークラ)入社、要人が泊まるペントハウスなど客室を長く担当。2014年から宿泊統括部部長。社内検定「マスターオブハウスキーピング」の試験官も務める。53歳

――ホテルの窓はなぜピカピカなのですか。

「毎日多くの人の出入りがありますから、窓ガラスは様々な汚れがつきます。お子様の鼻や手形がくっきりつくことも。それを放置することは許されません。客室担当だけでなく全員が、気づいた時にすぐ拭いています。社内では1室につき83の清掃チェック項目を設けています。それを15分以内にすべて確認し、お客様に使っていただけるか見極めます。お客様が部屋に入って外の景色を見たとき、窓が汚れていては心が晴れ晴れとしませんよね。洗面台やコップにも磨き残しはないか、くまなく確認するのは基本動作です」

「おかげで家内にあてにされ、休日も家で掃除をしています。中でも窓はまめに拭きます。一見きれいでも、触るとざらつくことがよくある。居間や台所など多くの部屋にありますが、どの部屋も1番目立つガラスを拭くと部屋が明るくなる。半面、汚れが目立ちやすい所でもあります」

――窓拭きの道具は。

「客室係が必ず持っているのは、ダスターと呼ぶ使い古した手ふき用タオル。三つ折りを2回繰り返して片手で持てるようにして使います。半分をぬらして汚れを落とし、乾いている所で拭いて仕上げます。家庭と違うのはダスターをクリーニングに出すこと。窓は常にきれいな布で拭く。100円均一ショップなどで売っているスクイージーも便利です」

――拭く手順は。

「ほとんどの汚れはペットボトルの水に台所用洗剤を数滴たらした液体で落ちます。まず、ダスターやスポンジにしみ込ませ、窓面をぬらし汚れをふやかします。直接スプレーしたり、洗剤を濃くしたりするのは禁物。泡が立ちすぎると何度も拭かなければならず手間です。液がたれるほどぬらす必要はありません。汚れが広がるのでゴシゴシ拭くのもやめましょう」

「汚れがふやけたら、ダスターやスクイージーで上から下に線を引くように拭いていきます。スクイージーは下まで拭いたら毎回ダスターでぬぐうことが肝心。下までいったら横に拭いて、汚れた液がたれないようにします。大きな窓は上下に二分して拭くのもよいでしょう。欲ばらないのもコツの一つです」

――拭いても筋が残る。

「ダスターで汚れを拭きとったら、必ず乾いたタオルで仕上げます。ポイントは真綿をなでるように優しくから拭きすること。力をいれてふいても、うまくいかず疲れるだけ。三つ折りを2回すれば適度な厚みになり、ふわっと握って優しく円を描くように仕上げられます。ただし、スクイージーで汚れを取った場合は、から拭きは不要です」

「鏡も基本は同じですが、洗面台の鏡は汚れがつきやすい下の方から拭くとよいでしょう。浴室の鏡は魚のウロコのようなシミがよくできます。水のカルキ成分が固まったもので、ダスターやスクイージーでは取れません。ダイヤモンドの粉がついた専用パッドが千円程度で市販されています。それを使いましょう」

――大掃除の季節です。

「33年前にホテル勤めを始めて以来、清掃がどれだけ大切かを先輩たちからたたき込まれてきました。客室担当はホテルの裏方。でも、お客様は客室にいる時間が一番長いのです。快適に過ごしてもらい、また泊まっていただけるよう、念には念を入れなければいけない。それは家庭でも同じだと思うのです。自分と家族が快適に過ごすため、全員で掃除を心がける。それで家庭も円満になるはず。我が家もそうですよ」

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