ジャズで年越し 定番、新顔、意外なビッグネームも

ジョン・コルトレーン「バラード」

サックス奏者、ジョン・コルトレーンの名盤はたくさんありますが、私が一番好きな作品は1962年に発表したこのアルバムです。コルトレーンの演奏というと、激しくブロウする一面がクローズアップされることが多いですが、このアルバムはタイトル通り、収録されている曲は全てバラード。どの曲もうっとりしてしまうくらい、すてきな曲ばかり。聴こえてくるのは、静寂の中からそっと生まれてくるような、美しい音色です。これまでとは違う印象の作品を発表したことで、当時、マウスピースの調子が悪くて、早いスピードの演奏ができなかった、というエピソードがよく伝わってきますが、実際のところはわからないようですね。

オーディオの前でゆっくりと堪能しながら聴くのも良いですが、普段の生活の中に自然と溶け込む音楽なので、気が付いたら1日流しっぱなしで聴いていることも。特に読書しながら聴くと、とても穏やかな時間を過ごせます。年末年始、読書でしっかり充電したい方にお薦めです。このアルバムはユニバーサルミュージックの「ジャズの100枚。」にも入っていて、シリーズの売り上げチャートの中でも上位に入る人気だそうです。

ものんくる「南へ」

ジャズなのか、ポップスなのか、それとも現代音楽なのか。それらの音楽を自由に行き来する、新感覚のグループ「ものんくる」。2013年のアルバムデビューから1年半の時を経て、この10月、ジャズのサックス奏者で作曲や文筆など多才に活動されている菊地成孔氏が主宰するレーベル「TABOO」より、第1弾新人アーティストとして、メジャーデビューを果たしました。

この「ものんくる」とは、作詞、作曲、編曲の全てをこなす、ベーシストの角田隆太さんとボーカリストの吉田沙良さんが、2011年に結成したユニット。活動を始めた当時から2人の才能は飛び抜けていて、菊地氏に「恐るべき子供達」とまで言わせてしまうほど。その噂を聞き付けた音楽ファンが彼らを支持し、ライブ会場は常に満席状態だったそうです。

20代を中心にした、いきのいいビッグバンドのワクワクさせるサウンドに、心地よい声とリズム、歌詞の世界が入ってきます。ときには、楽器のように歌うシーンも。曲中、ホーンセクションの大きな音が向かってきても、それを味方にした歌い方がとても魅力的です。また、歌詞が人の心に寄り添うようなハートフルな詞であること。自分に置き換えて、その詞の世界の中に自然と入っていけます。

ジャズ特有のソロまわしもほどよくあり、この「南へ」は特に、ジャズファンにもポップスファンにも聴き応え十分の内容。若者らしい勢いのある音楽は、新年に向けて活力を与えてくれそうです。ジャズとポップスの架け橋的存在の「ものんくる」は、2015年も注目です。

▼島田奈央子おすすめライブ

●ものんくる(2015年2月4日、名古屋 TOKUZO。2月11日、東京キネマ倶楽部など)http://mononkul.tumblr.com/

●紗理(2015年1月19日、銀座Swing。1月25日、栃木県総合文化センターなど)http://sariswing.com/

●JiLL-Decoy association(12月31日、JZ Brat Sound of Tokyo。2015年2月28日、日本橋三井ホールなど)http://www.jilldecoy.com/

島田さん提供
島田奈央子(しまだ・なおこ) 音楽ライターとしてジャズを中心に執筆。自らプロデュースするジャズ・イベント「Something Jazzy」を開催しながら、新しいジャズの楽しみ方を提案。著書に「Something Jazzy 女子JAZZスタイルブック」など。数多くのジャズのコンピCDやハワイアンのコンピCDなどの監修に携わり、音楽制作のプロデューサーとしても活動。
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