ジャズで年越し 定番、新顔、意外なビッグネームも

「日本らしさ」生かすジャズも

日本の良さをジャズにした音楽も増えました。女性ジャズボーカリストの紗理さんは、ジャズのスタンダード曲「ワルツ・フォー・デビイ」や「ジョイ・スプリング」などに日本語の歌詞を付けて歌っています。日本でも今年公開された映画「ストックホルムでワルツを」の主人公で、「ワルツ・フォー・デビイ」をスウェーデン語で歌った伝説のシンガー、モニカ・ゼタールンドを彷彿(ほうふつ)とさせます。

紗理さんが歌う日本語の歌詞は、とても自然で、温かさがあり、女性の心に特に響きます。またジャズとポップスを融合した、「JiLL-Decoy association(ジルデコイ・アソシエーション)」や今年メジャーデビューを果たした「ものんくる」など、日本語詞のオリジナルソングを歌いつつも、サウンドや歌い方に自然とジャズの要素が入っているユニットも注目されています。

日本の自然の風景をメロディーに投影した「信州ジャズ」も、新しさを感じる日本発のジャズです。安曇野在住のピアニスト、伊佐津さゆりさんのオリジナルソングに日本の原風景を感じ、「海外のジャズを意識したものでない、日本独自のジャズを発信したらどうだろう?」という発想からプロジェクトが生まれました。私もプロデューサーの1人として参加していますが、日本の唱歌も探してみると、素晴らしい曲がたくさんあり、洗練されたジャズのアレンジと融合することで、新鮮な気持ちで親しめるような気がします。

このプロジェクトに参加しながら全国で活動をしていると、日本各地にたくさんのジャズスポットがあることに気づきます。最近では、ライブハウスのみならず、カフェやレストラン、美術館やお寺、酒蔵、また電車の車両など、色々な場所でジャズライブが開催されています。ジャズを気軽に楽しめる機会も増えてきましたので、ライブにも足を運んでみてください。

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毎年、魅力的な新作や、アーティストが誕生しています。また、名盤も1000円程度と手に入りやすいものが増えました。今年もユニバーサルミュージックの「ジャズの100枚。」やソニー・ミュージックの「ソニー・ジャズ・コレクション1000」などが発売されました。自分のお気に入りを見つけて、ジャズをたっぷりと楽しんでください。

マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント「マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント・ライヴ~マルコス・ヴァーリ・デビュー50周年記念」

トニー・ベネットとレディー・ガガのデュエット作品が話題になりましたが、こちらの作品も今年リリースされ、人気の高いアルバムです。今年71歳を迎えたブラジル音楽界を代表するシンガーソングライターのマルコス・ヴァーリと、ロンドンを拠点に活動するアメリカの女性ジャズシンガー、ステイシー・ケントがデュエットしています。

ボサノバやサンバ、MPB(ブラジリアン・ポピュラー・ミュージックの意)と呼ばれる音楽で、数多くのヒット曲を生んだマルコス・ヴァーリ。「サマー・サンバ」というヒット曲が有名ですが、日本では、「バトゥカーダ」という軽快なサンバ曲がCMソングでよく流れていたので、耳にしている方も多いのでは。彼の曲は、ジャズやロック、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック=大人向けのロック)などをブラジル音楽にクロスオーバ―させた斬新なものもありますが、基本にあるのはポップでメロディアス。ユニークなフレーズは、いつまでも耳に残ります。

このアルバムは、ブラジルのリオで行われたデビュー50周年ライブを収録。彼の代表するヒットナンバーが並び、かれんな歌声のステイシーとのデュオで、内容の濃い温かいライブが繰り広げられます。サポートミュージシャン達も、彼の音楽を心から愛しているのがわかるくらい、大事に音を通じて答えているのが伝わってきます。アルバムを聴き終わった後も、しばらくの間、ライブの世界に浸りたくなる良い作品です。デュエットだけに恋人や夫婦で聴くのにもピッタリ。美しいハーモニーをバックに二人で今年を振り返ってみるのもいいですね。

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